戦線☆Brother
2
「・・・だ、ダメよ!!ダメ!!そんなのぜぇったいダメ!!」
さっきまでの余裕は何処へやら、お袋は全力で否定する。
「ほら!もうすぐ5月なんだし、今頃転校なんて・・・」
「そーゆー事も全部覚悟しての決意なんだよ」
キッパリ言い切れば、お袋は言葉が詰まってしまったのか、口をパクパクさせている。
「・・・・・・音人」
そんな時、今まで黙っていた親父が静かに口を開いた。
「な、何だよ・・・」
今までに聞いた事のない真剣な声音に思わず身構えるオレ。
親父は、オレの視線が自分に向いたのを確認してから、ゆっくりと口を開いた。
「おまえが本当に嫌だと言うのなら転校を認めよう。」
「ほ、本当に!?」
こんなあっさり許してもらえるなんて思っていなかったから、つい声が裏返ってしまう。
「ああ。」
「親父・・・・・・
オレ、今まで親父のこと息子の事を考えない鬼の様な男だと思ってた。
でも違ったんだな!!オレ、親父のこと見直したよ!!」
「うんうん。まぁ、但し!」
「但し・・・?」
「パパが決めた学校に行く事!あと転入試験に受からなかったらこの話は無し!いいね?」
「う、うん!!」
びっくりした〜・・・ι
“但し”とか言うから、またどんな無理難題言われるのかと思ったら、意外と真面目な条件だった。よかったぁ・・・
「オレ、頑張って絶対転校してやるよ!!」
オレの明るい高校生活が見えてきたんだ!!
なんとしてでも試験に受かってやるー!!
オレは意気揚々とリビングを出て行った。
親父が笑っていたことに気付かずに・・・・・・
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