戦線☆Brother
高橋亜仁の場合@
ちっちゃい頃のアニィの話。
「アニィ、おはよう!」
「・・・・・・・・・」
朝から元気なこいつはおれのにーちゃん、おとうと。
おはようを返すことなく、おれはいつも朝ごはんを食べてる場所に座る。
はっきり言って、おれはおとうとが好きではない。
にーちゃんのクセにおれより身長が低いし、勉強もおれよりできないし、運動も、お歌も、友達の数も・・・
全部全部おれより下。
何より見た目が違い過ぎる。おれと全然似てない。
唯一同じのは髪の毛と目元くらい。
おれはそんなおとうとが、自分と全く関係のない『他人』に思えた。だから好き、でもなかった・・・
「アニィのクラスは今日の1時間目は何のお勉強?あ、牛乳飲む?」
対するおとうとは事あるごとにおれに話しかけてくる。それがまたイライラする・・・
「はい!牛にゅ・・・・・・あ!」
バシャッ
その上、相手を気遣って自分でやるとか言っときながらいつも失敗する。
だから、ムカつく。
「・・・・・・いい加減にしろよ!!そのくらい自分でできる!おれに構うなよ!!」
怒鳴り付ければしょんぼりとし、目に一杯涙をためて「ごめんなさい」と呟くおとうと。
おれはそれに言葉を返すこともなく一人でさっさと学校へ向かった。
――――――・・・
「なぁ、おまえ最近おとちゃんと仲悪くない?」
あれから1週間。
おれはおとうとと登下校はもちろん、話もしなくなった。
おとうとはなんとかおれと仲直りしたいのか、一生懸命おれの気を引こうとしているが、避けている。
「今回ばかりはもう無理。あいつ見てるといらいらすんだもん!」
「でも、おとちゃん悲しそうだし・・・」
「キミは関係ないだろ!?」
キミに冷たい目を向ければ、キミは口籠もってしまった。
こいつ、佐藤公隆(サトウ キミタカ)はおれの友達。それでもって、多分、おとうとが好き。本人は気付いてないみたいだけど・・・
だからかキミはやたらおとうとの肩を持つ。それがまたいらいらになるのに・・・
「で、でも、せめて挨拶とかお礼とかはちゃんと言ってあげなよ?今、おばさんも働いてるんだろ?2人で協力しなきゃいけない時もあるだろうしさ?」
おずおずと口を開いたキミの言葉に眉間に皺を寄せた。
けど、キミが言うことは確かにそうだと思った。
いざって時はおれとおとうとでなんとかしなきゃいけないし、せめて「ただいま」と「おかえり」は言おう。そう思った。
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