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ねむねむ日和
篠宮学院高等部3年B組宮部竜司の朝は早い。

まだ日も昇らない午前4時。竜司はアラームもなくパチッと目を覚ますと腕の中ですやすや眠る恋人の露わになったおでこに唇を落とし、ベッドを抜け出す。

パソコンを起動させ、その日1日のスケジュールを確認するとメールチェックをし、作りかけの書類を完成させる。

二時間ほどで必要なことをある程度終わらせると、まだ眠っている立芳の隣に滑り込みその体を抱え込んだ。

あと30分程で起きるであろう立芳をこうして隣で目覚めるのを待つのは、一度竜司が立芳をベッドに残したまま先に起きた時、立芳が眉を八の字にして泣きそうな顔で竜司を探しといたことがあったからだ。

しかもその時はタイミング悪く竜司がほんの少し外に出たときに起きて探したらしく部屋に帰ってきたとき、立芳にしては珍しく竜司に飛びついて来た。

それ以来竜司は一緒に寝たときは、一緒に起きるようにしている。

立芳の寝顔をたっぷり眺めた竜司はそろそろ目覚めそうな立芳の気配に目を閉じた。

もぞもぞと動き、起き上がった立芳が竜司の顔をのぞき込む気配を感じたが、竜司は目を閉じたままだ。

「りゅう先輩、朝だよ」

ゆると体を揺らされたが竜司は、ん、と唸るだけ。

「りゅう先輩?起きて」

柔らかな声が再び竜司を呼ぶのをずっと聞いていたいと思いながらも、このまま起きなければ心配するだろう立芳が簡単に想像できて竜司はパチッと目を開けると素早く立芳の体を引き寄せた。

わ、とびっくりした声を出す立芳に竜司はにっこり笑いながらおはよう、と言うと、立芳は目をぱちくりと瞬かせ、へんにょり笑いながらおはようございます、と返した。

このまま腕の中から離したくない、と竜司がきゅうと抱き締めれば、立芳もそれに応えるようにきゅうと抱き返してくれて。

ベッドの上で戯れる時間が竜司は特にお気に入りで、このままでいたいと願うけれどそうもいかず。

「りゅう先輩、起きなくちゃ」

立芳に起きるよう促されて竜司は抱きしめていた腕を緩めるが、体を起こそうとはしない。

「りゅう先輩?」

「立芳がちゅーしてくれたら起きる」

ベッドから降りた立芳が起きようとしない竜司を振り返れば、竜司はまるで駄々っ子の様にそう言った。

ハル、と促すように名前を呼べば目元をピンクに染めた立芳がソッと竜司の頬に唇を落としてからパッと離れた。

唇にして欲しかったのに、と思いながらも十分に嬉しい竜司はようやく起き上がった。

そして部屋を出ようとする立芳を抱き止めて、お返しとばかりにその唇を奪った。



(りゅう先輩、遅刻するよ)





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