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告白したのは僕からだった。

OKを貰えたときは時は本当に嬉しくて、まるで夢のようだった。



【疑惑】



付き合いだして5ヶ月。

最近貴仁さんは冷たい。

付き合いだした頃は一緒に帰ってくれてたのに…。

校門の方に目を向けると走って帰る貴仁さんの背中が見えた。

貴仁さんはなんで僕なんかと付き合ってるんだろ?

僕と付き合う前は女の人としか付き合ってなかったのは知ってる。

それも長続きなんてしたことないのだって知ってる。

僕と付き合ってるのは僕が母に似て女顔だから…?

それとも、妊娠する心配がないから?

体のいい性欲捌け口?

何の為にそんなに急いで帰るの?

誰かに会いに行く為?

そろそろ僕に飽きた?

嫌になった?

もうすぐお別れ?

あぁ…ダメだ。

頭のマイナスのことしか思いつかなくて。

グルグルと嫌な考えが廻って気分悪くなって来た。


「渚!!」


名前を呼ばれ、考えるのを無理に止めた。

正直…助かった。


「今日も貴仁さんと一緒に帰らないのか?」


振替えると、一哉が立っていた。

一哉は同じクラスで、よく一緒に行動するやつだ。

貴仁さんのことを色々教えてもらった。

一哉と貴仁さんは同じ中学出身だから。

僕と貴仁さんが付き合ってるのも知ってる。


「うん…。貴仁さん忙しいみたい。」


声が沈むのが自分でも分かる。


「そっか…。じゃ、俺と帰るか?」


慰めるように僕の頭を軽く叩いて、ドアの方に向かっていった。

一哉は優しい。

触れて欲しくないことには触れてこない。






一哉と授業の話やTVの話、当り障りのない話をしながら並んで歩く。

町中なだけあって人が多い。

え……?

一瞬。視界の中に入った光景にドクリ、と心臓が音を立てた。

道路の向こう側に貴仁さん。

横には綺麗な女の人。

その人が甘えるように貴仁さんの腕に手を回して、貴仁さんは嫌がる素振りもなく受け入れた。

嫌なのに。

見たくもないのに。

二人はすごくお似合い…。

僕なんか比べ物にならない。

その綺麗な女の人に会う為にあんなに早く帰ってた?

やっぱりもうお別れ?

僕は…いらない?

声も出せず、ただ貴仁さんたちを見つめる。

貴仁さんは僕に気付く事なく、人込みの中に消えて行った。

「…さ?」


足下がフラフラする。

口の中がカラカラに乾いて咽が張り付く…。


「なぎさ!」

「あ…?一哉…」

「どうした?帰るぞ?」

「あ…、うん。」


再び歩き始める。

けど、さっきの光景が目の奥に焼きついて消えない。

一哉と別れるまで、どんな話をしてたか記憶にない。
ただ、あの場面がグルグル頭の中を回ってる。



その日の夜。

貴仁さんから電話がかかって来た。


『最近一緒に帰れなくてごめんな?』


貴仁さんは優しいね。

でもその優しさは時には残酷なんです。


「いえ、貴仁さん忙しいみたいだし…。それに、一哉が一緒に帰ってくれるから大丈夫です。」


本当はあの女の人は誰って聞きたいのに…。

答えを聞くのが怖い…。


『そ……。明日も一緒に帰れないから。じゃぁね。』


プツ…。


「あ…」


一方的に電話を切られた。

僕とは話なんかもしたくない?

携帯を閉じて、ベッドに沈む。

鼻の奥がつんとして、涙がハラハラと落ちてくる。




それからも貴仁さんとは一緒に帰れなかった。

そしてたまに貴仁さんとあの女の人が一緒に歩いてるのを見た…。

僕から電話を掛けたかったけど、怖くて出来なかった。

いつ別れを言われるのか…。

怯えながら過ごす毎日。





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あきゅろす。
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