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オニゴッコ*後
次の日。

俺の予想と言うか確信に反して太陽は現れなかった。

どうせ放課後に来るんだろうと思っていたが太陽はその日1日姿を現さなかった。

たまにはこんな日も有りだろ、とゆっくり家に帰った。





「陽ちゃんどうしたのかな?」

「最近来ないね。」

クラスメートの言葉通り太陽が来なくなって3日がたった。

流石に俺も何かあったのかと気になって流に声をかけた。

「なぁ、流。あいつ部活来てんの?」

「あいつって陽ちゃん?毎日来てるけど?」

「ふーん。」

ってことは何だ。

俺に会いたくねぇってことか?

「何?陽ちゃんのこと気になるの?」

「ちげーよ。うるせーのがいなくなって清々するよ。俺、次ふけるわ。じゃあな。」

片手をヒラヒラふって俺は流に背を向けた。

だから気づかなかったんだ。

流があの人の悪い笑みを浮かべていたことに。

4限をサボって俺はいつ昼休みを過ごす教室に向かった。

南向きの窓から入ってくる太陽の暖かさに包まれて俺は夢の世界へと旅立った。





「――……ンパイ!」

耳に心地良い、低くも高くもないちょうど良いぐらいの声が聞こえる。

「―…先輩!」

「んっ、ん……?」

「朔先輩!」

目を開けると久しぶりに見る顔。

「太陽……」

「あの、朔先輩に聞いて欲しいことがあって…」

いつもの元気はドコに行ったのか不安げに目を揺らし、耳としっぽが垂れている姿が見える。

何となくいつもと違う雰囲気に緊張して、俺は姿勢を心持ち正して目で先を促した。

「俺と、付き合ってください。」

久々に言われる言葉に思わずドキリとしてしまう。

でも俺の言葉は決まっている。

「嫌。」

一言そう言えば太陽は悲しそうに目線を床に落とした。

「そう、ですよね…。俺頑張ったんだけどな……」

うっすらと目尻に涙が浮かんでいて俺は焦った。

どんなに断っても太陽が泣いたことなどなかったのに。

「太陽…?」

「無駄になっちゃった…」

ぽつりと零した言葉の意味はよくわからなくて。

「今まですみませんでした。」

ぺこっと頭を下げて出ていこうとする太陽を、俺は思わず立ち上がり引き止めた。

「太陽!お前どうしたんだ?」

小柄な太陽のつむじがよく見える。

何もない、と頭をふり太陽がうなだれたとき。

「お前っ!!なんだそれはっ!?」

細い項に見えた赤い痕。

カッと頭に血が昇って俺は太陽を近くの机の上に押し倒した。

「せんぱ、い?」

俺を不思議な目で見上げてくる太陽に訳の分からない怒りがフツフツとこみ上げてきて。

「誰につけられた?」

出た声は思ったよりも低く、誰が聞いても怒りを含んでいて太陽に怯えの色が走った。

怖がらせたいわけじゃない。

だけど、誰かが太陽に触れたかと思うとマグマのように熱い怒りが湧き出て、自分を押さえつけられない。

「くそっ!!なんなんだよっ!」

太陽の両手を片手でまとめあげて俺は制服に手をかけた。

「先輩!?何っ!?」

日に当たらない箇所は腕よりもずいぶん白くて、そこに数個ある赤い痕。

鎖骨辺りについているそれに俺は容赦なく噛みついた。

「いっ!」

しっかりと歯形ができ赤い痕は見えなくなった。

俺は少し満足してそのまま太陽のズボンに手をかけた。

カチャカチャ音を立てるベルトに、俺を止めようとする太陽の声。

そんなもん全部ムシってズボンも下着も下げた。

「なに!?先輩!?」

片足を掴んで開き、秘部を露わにしそこに顔を近づけた。

その近辺に痕はなくて俺は少し安心した。

「いやだ!先輩!」

もがいて拒絶する太陽にイラッと来て俺は乱暴に太陽の性器を掴んだ。

「ひぃ!!やっ!やだぁっ!!」

「うるせぇな。こうやってもらったんだろうがっ!!」

擦っても反応しないそれに舌打ちして、俺は自分の指を舐めて濡らすと太陽の蕾に指を伸ばした。

「なっ!?やだっ!!うっ!」

中指を無理矢理ねじ込もうとするが堅く口を閉じて受け付けようとしない。

「何が嫌なんだよ!ここに突っ込まれたんだろーがっ!!」

それでも無理矢理ねじ込もうとすれば太陽が泣き出した。

「しらな…!俺、知らないっ!!」

「知らないわけないだろ!!あぁ?」

「知らないっ!やっ!朔せんぱ、怖いっ!!ひぃっ、ぅっ…」

本格的に泣き出した太陽に思わず狼狽える。

「うっ…ひぃ、く…」

「あ―…!くそっ!!太陽泣くな。俺が悪かったから。」

肩を震わせて泣きじゃくる太陽に罪悪感が襲ってくる。

そりゃ無理矢理されたら誰だって怖いよな…。

よりいっそう細く見える太陽をそっと抱きしめてあやしてやる。

しばらくそのままでいると落ち着いてきたのか鼻を啜りだした。

「太陽?大丈夫か?」

俺が悪いのに大丈夫もくそもないけれど、できるだけ優しい声で聞けば太陽は無言で頷いた。

「あ―…、その…。」

めんどくさいことになったが太陽が泣いているのは嫌で。

俺は小さな頭を撫でて、脱がした服をキチッとなおしてやる。

「朔先輩?」

ズズっと鼻を啜りながら太陽は俺を見上げてきた。

目と鼻が真っ赤になっていて、いつもは子犬だと思っていたのに、うさぎを思い浮かべてしまった。

「それ、俺のためか?」

トントンと服の上から赤い痕を指すと太陽は少し間があってから頷いた。

俺が初めてはめんどくさいと言ったせいと思うのは自意識過剰なのか。

でもそれ以外思い浮かばなくてチリっと胸が痛んだ。

「誰にされたんだ?」

「えっ…」

言いたくないのか目をさまよわせる太陽。

俺は自分に冷静になれ、と息を深く吸ってゆっくりはいた。

「最後までしてないのか?」

「…??」

「……、セックスだよ。」

「えっ!?してませんっ!してません!」

慌てて否定する太陽にホッと息をついて、そこではたと気づく。

俺は今まで何をしたのか、と。

太陽にキスマークがあるのを見つけてムカついて、押し倒して……。

これじゃまるで。

まるで……。

「朔先輩?」

「っ――!」

頭をこてんと傾けて俺を見上げてくる太陽に思わず顔が赤くなる。

こいつこんなに可愛かったのか!?

赤くなった顔を見られたくなくて片手で顔を覆い上を向いた。

「朔先輩?どうしたんですか?」

まさか、だ。

こんなことで気づくなんて。

「先輩怒ってますか?これはしのちゃんが面白がってつけただけで!」

あー…まさか、まさか。

「俺、先輩一筋です!」

太陽のこと、好きだなんて。

「俺と付き合ってください!!」

「…いいぜ。」

「……え、」

ポカンと口を開けて俺を見上げてくる太陽がなんとも愛らしい。

「先輩本当に?」

「あぁ。」

「嘘じゃないですか?」

「嘘じゃない。」

「本当の本当に?」

「本当の本当に。」

「朔先輩!」

「ん?」

「やったぁー!!」

大声で叫びながら抱きついてきた太陽にビックリして。

でも悪くない気分に俺も太陽を抱きしめた。

たまにはこういうめんどくさい関係も良いかもしれない。


**END**

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あきゅろす。
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