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WJ
rumor・後
【rumor】
〜うわさ〜




「仲良いよな〜。」



ポツリと呟いたのは橙色。

いや、それは違うだろ!と心の中で突っ込んで、見慣れぬ橙色をじぃ…と見詰めれば視線に気付いたのかにっこり笑い、名を名乗った。



「初めまして、藍染一護です。」



さっきの笑顔があまりに綺麗で見惚れていた2人は慌てて挨拶を返す。

藍染一護…?

そう言えば先ほど藍染が「人の奥さんに…」と言っていたのを思い出した。

髪は短く、一見すれば少年のようだが、よくよく見れば女の人にしか見えない。

少年だと感じた自分が不思議だと恋次と一角は思った。

取りあえず再び雨乾堂の縁側に座り、何処かに消えた隊長3人を待ちながら杯を交わす。

藍染の奥方と言う事で、何となく敬語になってしまう。





「2人は十三番隊なのか?」

「いえ、六番隊です。」


「白哉のとこか!」



あの朽木隊長のことを呼び捨てにするなんて、大丈夫なんだろうかと内心不安になりながらもそうです、と恋次が答えれば橙色は目を細めて嬉しそうに笑った。

「あいつさ、気難しいけど良い奴だよな!」

「はぁ、そうですね…。」


おいおい、あいつ呼ばわりしたのがバレたら殺されるぞ!?なんて2人が心配してる事など露知らず橙色は、一角に向けてお前は?という視線を向けた。



「俺は十一番隊です。」

「本当に!?俺昔十一番隊の隊長してたんだ!」



ひどく嬉しそうに言う橙色に、えっ!?と聞き返そうとした瞬間。

何処からともなく狐が、いや狐顔の隊長が橙色に向かって飛び付いた。



「一護ちゃぁぁん!!」



が。

しかし、橙色に触れる直前市丸の体は地面に沈んだ。

いつの間にか戻って来た、浮竹と京楽が同時に蹴り落としたらしい。

それは見事に息の合った踵落としでさすがは長年の戦友だ、なんて事を思わずにいられなかったとか。



「ギン、余程その命いらないようだね?」



藍染が爽やかな笑みを浮かべて、斬魄刀を市丸の喉元に突き付ける。

緊迫した空気に恋次と一角の体も硬くなる。



「惣右介!春水も十四郎も止めろよ!ギンのほんの冗談なんだからさ。」

「ほんまやで。」



くぐもった声で、これやからおっさんは…なんて悪態を吐く狐、いや市丸ギン。



「嫌だなぁ、一護。これも鍛練のうちだよ?」



なんて爽やかに笑いながら言う藍染に、背筋が薄ら寒くなる。

「あの、一護さんって…?」


恐る恐る、一角が疑問を口にする。

隊長格を呼び捨てにするなんてただの死神とは考えられない。



「あぁ、そう言えば闘神の話をしていたんだったね。」



浮竹が今思い出したとばかりに恋次と一角の方に視線をやると、京楽が言葉を続ける。



「闘神って言うのは一護ちゃんの事だよ。」


「「えぇぇぇっ!?」」


「なんや、知らんかったん?」



復活した市丸が意外そうな顔をする。



「いえ、だって…。」



闘神はてっきり男だと思っていたのだ。

橙色はどう見ても年は一角や恋次と変わりないし、それに線も細く先刻京楽と浮竹から聞いていた【闘神】のイメージとは程遠い。



「一護は昔、十一番隊の隊長だったんだよ。」

「せやから十一番隊は戦闘部隊って言われるんやで。」

「え、じゃぁ一護さんって何歳なんですか…?」



更に疑問が深まる。

「こら、女性に年齢を尋ねちゃ失礼だろ。」


「春水、別に良いよ。年とか数えてないから覚えてないけど、春水と十四朗と同じ年ぐらいだな。」


「「えぇぇぇぇっ!」」


「てっきり俺等と同い年ぐらいかと…」


「確かに一護は若々しく見えるね。」


「そやからやっぱ一護ちゃんには若いもんが似合っとるんやで。つまりボクの事やね!」



自信満々に言う市丸に浮竹と京楽が青筋立てて反論する。



「若いだけで甲斐性無しの君なんかより俺の方がずっと良いに決まってるだろ!一護君は俺と一緒に雨乾堂で暮らすんだ!」

「薬臭い所なんかに居るより僕と一緒の方が幸せになれるに決まってるだろ!」


「君達いい加減諦めたらどうだい?大体、僕は一護を手放す気なんてないよ。」


「そんなことわからへんやん。一護ちゃんが藍染隊長に愛想つかすかも知れませんやん。」


市丸の言葉に浮竹と京楽がうんうん、と頷いている。



「ほぉ…、良い度胸だね。君達。」



顔に笑みを張り付けたまま藍染が斬魄刀を抜けば、それぞれが戦闘態勢に入り、一瞬で4人の隊長は何処かに消えた。

遠くから聞こえる凄まじい破壊音は気のせいであって欲しいと切実に願う恋次と一角だった。



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2006/6/12


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