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WJ
rumor・前
かつて闘神と呼ばれた死神がいた、という話を恋次達が聞いたのはつい最近の事。


山本総隊長の教え子でも有り、浮竹隊長や京楽隊長、藍染隊長と共に前線で戦っていたらしい。




【rumor】〜うわさ〜





「昔、闘神って呼ばれるほど強い死神がいたって本当なんですか?」



雨乾堂の縁側で京楽と浮竹が酒盛しているのを見掛け、いい機会だ、とばかりに事の真相を問い掛けたのは恋次と一角だった。


それに対し2人は顔を見合わせ、少し哀しげな顔をした。
聞いてはいけない話なのか、と思ったがまぁ座れ、と言われ縁側に座り話を聞くことにした。



「本当だよ。ただ、闘神って呼び名は後から付いたものだけどね。」



苦笑いをしながら、肯定したのは浮竹だった。


京楽が昔を懐かしむように月を見上げながら、話を続けた。

「身の丈ほどの黒刀を持って闘う姿は見る者全てを魅了した。実際僕らもよく見惚れてたんだけどね。そしたらさ、何ボーッとしてんだ!って怒鳴るんだよ。まさか、見惚れてたなんて言えるわけも無くてさ。あの時は困ったよ。」



ははは、と笑う京楽に頷き浮竹は更に続ける。



「霊圧はとてつもなくでかいのに鬼道はからっきしでね。鬼道の練習をしては失敗して、よく隊舎を壊してたよ。その度に先生に拳骨されてさ。あれは痛かった。」


「それにすごく優しくて、自分のことより他人を大切にしてたんだよ。誰かを庇ってはよくひどい怪我をおってたね。」



その人を話す2人の雰囲気から、どれだけその人が強かったか、そしてどれだけ2人がその人を好きだったのかが窺い知れた。



「それが…なんで…。なんで!!」



2人共杯を持つ手が、強く握り過ぎたせいで白くなっている。


きっとその人はもう亡き人となっているのだ、と察し、かける言葉が見つからない。


きっと浮竹や京楽にとってこの話は辛かったに違いない。


そう思うと軽々しく問うた自分達を後悔した。


重い空気が雨乾堂を包む。

沈黙を破ったのは浮竹と京楽の名を呼ぶ、明るい声だった。



「春水!十四朗!」」

「一護ちゃん・君!」



2人は突然現れた人物に我先にと抱き付いた。

その様はまるで主人を見つけた犬ようだ、と恋次達は失礼なことを思った。



「ついに嫌気がさしたのか?それならずっと雨乾堂にいたらいいさ。」

「何言ってるだ、浮竹!一護ちゃんは僕と一緒になるんだ!!」

「ちょ、十四朗も春水も落ち着け。」



ほら離れろ、と優しげに笑う人はまだ幼さを残した容貌で、目を引く橙色の髪をしていた。

死魄装を着ているから死神だと言う事は分かった。


隊長、その人は?と一角が問うのと同時に浮竹と京楽に向けて鬼道が飛んで来た。


軽く交わすのを呆気にとられ見ていれば。



「浮竹も京楽も、人の奥さんに手を出さないでくれるかな?」

「藍染隊長!?」

「一護君に当たったらどうしてくれるんだ!!」

「惣右介君!君が悪いんだろ!一護ちゃんに手を出して!!」



君達しか狙って無いから大丈夫だよ、とサラッと返し橙色に近付く。


京楽は完全無視である。



「あぁ、またそんな薄着で外に出て。体を冷やしたら駄目だろう。」



五と書かれた白の羽織をふわりと肩にかければ、橙色は焦った様に返そうとするが、良いから着てなさいと言われ渋々従った。



「僕はちょっとあの2人に話があるから一護は阿散井君とお話ししておいで。」



そう言うと、隊長3人は何処かに消えた。


少し遠くから建物が破壊される音が聞こえてくるのは気のせいであって欲しいと、願う恋次と一角だった。




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