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WJ
欠けた月▼李亜様へvv
「一護っ!好きだ!!俺と付き合ってくれ!!」



髪の毛と同じくらいに顔を真っ赤にして、恋次は目の前の橙色に想いを伝えた。

それに一護は照れたように俯いて、小さく首を縦に振った。


満月の夜、だった。




【欠けた月】




藍染達が裏切ってから内部にもまだ裏切り者が居る可能性がある、と常に警戒態勢が措かれた。

それに伴い、隊長・副隊長格が忙しくなるのは必須で例に洩れず恋次も多忙を極めていた。

最近想いが通じ合ったばかりの恋人の側にいたいと思うがそれも叶わず。

今日もわざわざ会いに来てくれたのに自分は仕事に出なければいけない為、家に一護を残して来たのだった。

「あぁー!一護に会いてぇ!!」



と、叫びたいのを我慢し月夜の中瀞霊廷内を一人で警邏していた。

人の影どころか猫一匹も見当たらない、不気味な程静かな夜だ。

そろそろ交替かという時微かな魄動を感じ、無視する訳にもいかず渋々足を向けた。











時を同じくして、瀞霊廷の一画。

闇夜の中。

人目に付かないような場にその2人はいた。

ぴったりと寄り添う様は恋人のよう。



「ばれるよ?」



少年がこちらに向かって来る霊圧を察知しポツリと呟いた。

それに対し大きい方、茶色い髪を後ろに撫で付けた男は嬉しそうに笑うだけ。



「別にいいよ。もう我慢できないからね。」

「バカ」



悪戯が成功した子供のようにクスクス笑い合う。

その間にも、どんどん2人に近付いて来る霊圧。

次の瞬間、ザッ…と風を切って死神が現れた。

恋次は目を見開いて驚愕した。



「藍染隊長っ!?なんであんたがっ!」



目の前に裏切り者である元五番隊隊長、藍染惣右介が堂々と立っていたからだ。

蛇尾丸を構える。

そうすれば誰かが魄動を感じ救援に来るはず、恋次一人で何とかそれまで時間を稼げば良い。

それに対し藍染は特に何をするわけでも無く笑みを湛え、楽しげに口を開いた。



「本当は嫌だったんだけどね、阿散井君と付き合う事にしとけばこっちに出入りしやすいだろう?」



その言葉は内部に藍染の仲間が居る事を明言している。

だが、恋次が付き合っているのは…。



「でもね、僕の一護が君に触れられるのは堪え難くてね。ましてや、肌を重ねるなんて事許せる訳が無いだろう?」

「何を…言って…」



藍染の言葉に偽りは感じない。

今更嘘を言ったとしてそれが何か得になるとは思えない。

だが鵜呑みにすることなど出来る筈がない。












雲に隠れていた月が姿を現した。

「…いち…ご?」



藍染の背後から現れたのは鮮やかな橙色の髪を持った少年。



黒崎一護だった。



「恋次から告白された時、笑い堪えるのが大変だったよ。」



クスクスと笑う一護に何時もの様な光はない。

いつも見ていた一護を太陽だとするなら、今恋次の前に居るのは月のようで、笑ってはいるがそれは冷笑という部類のもの。



「俺は騙されない!!それも幻覚か!!」

「まさか。」



ほら、と言った瞬間藍染の右手に現れたのは一護と全く同じ姿形をした人間。

黒崎一護そのもの。

恋次の目の前には一護が2人存在して居る。

"砕けろ『鏡花水月』"の言葉と共に、藍染の右手の一護は残魄刀に変化した。



「なっ……!」



ならば目の前に居るのは本物の一護であると言うのか。

「残念、だったな?」



言葉が出ない恋次に向かって見た事もないような妖艶な笑みを浮かべ冷たく言い放つと、藍染の首にスルリと腕をまわす。

そのまま藍染は一護を抱き上げると、見せつけるように唇を合わせた。

お互いの唾液を交換する様に、深く長く。



「んっ…」



一護の口から洩れる吐息が、何故か酷く現実味を与えた。

足元がガラガラと音を立てて崩れていくのを感じながらも、蛇尾丸を力を込めて持つ。
だが、振り下ろす事が出来ない。

2人は全くの無防備なのだから、さっさと切りかかってしまえば良い。

だが、目の前にいるのはかつて共にルキアを助けた戦友であり、恋次の最愛の恋人なのだ。

一護が裏切り者だったとしても、一護を傷つける様な事など今の恋次には不可能だった。

敵を目前にして戦意喪失、状況を理解しがたい。いや、理解したくない。

そんな恋次の様子を嘲笑い、優越感に浸った表情で見下ろす藍染。

不気味な静寂が場を包む。

「…惣右介。」



何かを察知した一護が、藍染の腕の中で呟いた。

恐らく他の死神がこちらに近付いているのだろう。



「あぁ、そろそろ帰ろう。」



帰ろう、と。その言葉は一護が帰るべき場所はここではないと言っている。



「一護…。」



恋次の縋るような小さな声は、一護の声に消された。



『破道の三十三』



紡がれた言葉は詠唱破棄での。


『蒼火墜』



凄まじい蒼炎が恋次を襲う。

鬼道が苦手と言っていたとは思えない威力。

隊長クラス、いやそれ以上の威力を持っている。

グラリ、と視界が揺れる中恋次が見たものは鮮やかに笑う一護の姿だった。



あぁ、本当に一護は…。



空に浮かぶ月が笑った様に見えた。



・----・
end
・----・



▼後書

相互記念に愛しの李亜様に捧げます!

こんなに遅くなってしまい本当に申し訳ないです!!(土下座)

しかもリクからかけ離れて……(滝汗)

返品は可です!

大有りです!!

苦情もドシドシどうぞ☆

恋次のことは嫌いじゃないのに何故か酷い扱いになってしまう…。

これも愛ゆえです(o>∀<)b

李亜様愛してます!(こんな処で言うなよ。)

不束者ではございますがこれからもよろしくお願い致します!


2006/3/17



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