R-10N
ニュースは、R-10N型に記憶媒体が短命であるという欠陥があること、入替を進めてきた業者が稼働中の最後の数体を今日一斉に入替処分することを伝えていた。
壊れたように、けれど静かに謝罪の言葉だけ繰り返すリオンを、井ノ内は唐突に、強く抱き締めた。
静寂が訪れる。
きし、とリオンの肩がきしむ音がして、それがいっそう愛しくさせる。
「俺は、あなたが、」
囁くより強く、井ノ内が口にしようとした熱っぽい台詞は、リオンが身を離した事で遮られた。
リオンは俯いたまま頭を振る。
「リオン…!」
「やめてください。私は、…ロボットです」
たとえ感情が高ぶっても、彼らが涙を流すことはない。そういう機能がないのだ。
しかし、その時リオンは確かに泣いていた。
ふ、と顔を上げ、涙をたたえたような青味がかった目で、真っ直ぐに井ノ内をみつめる。
「ここで、会えるだけで、…良かったのに」
震えた語尾を、井ノ内の唇が奪った。
桜色の唇は、ひやりと冷たい。
抱き締めあった体温が混ざるのを、二人は感じた。
向かいのビルの窓ガラスに、太陽が反射する。
もうすぐに、出社の第一陣が到着するだろう時間───
二人はただ、ひとつになったように抱き合っていた。
長南さんリク。
「近未来」(YL)
ロボットってのはもろ機械をで
アンドロイドってのは心肺とか血液とか…感情とか。
人間と同じようなものだそうです。
(故に未だ幻想の存在)
長いですね。
お付き合いありがとうございました。
20051029 鈴木さら
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