ふたりが座るに(OP-鷹鰐
二人が寄り添って座るのに丁度良いソファの上。
白く、骨っぽい手首を掴んで、上体を寄せる。すると逃げるように身を反らせるから、鷹目は眉間の縦皺をいよいよ深めた。
往生際が悪い、と内心呟く。
まるで怯える事しか知らない野良猫のように、黒湖は接触を恐れた。鷹目は最初、それすら愛しく思ったが、最近はそれに、苛立つような感情が混ざる事が多くなった。
愛憎紙一重とは言ったものだな、と思いもする。
頬への軽い口付けにやっと慣れたかと思ったら、次にはその唇、と関門が控えていたのだ。
拒むように伏せた琥珀の目に、言い様の無い加虐心が鷹目を揺らす。
「焦らすのもいいかげんにしたまえよ」
口をついた台詞に鷹目は自分で驚いたが、黒湖はもっと驚いたようだった。
ままよ、と鷹目は腕を回して肩を抱き寄せる。
あ、と小さく叫んだ唇に、覆い被さる。まぶたを閉じる時間すら与えずに、鷹目は舌先を伸ばした。
熱い。
黒湖がためらいながら応えようとするので、鷹目は気を良くした。
舐め回し、やわらかく歯を立て、息もつかせない。
食い尽くすような長い口付けが終わった途端、黒湖はくたりとその身を鷹目に預けた。
白く透き通るようだった首筋が上気して赤く染まっているのを見て、鷹目は一人満足そうに笑う。
二人が寄り添って座るのに丁度良いソファの上。
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