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社長、秘書、弁護士(中途半端


 満面の笑みの弁護士を、社長はいかんともし難い表情で見つめた。
 その形の良い高い鼻やひき締まった頬が寒さで赤くなっているので、あまり酷い事も言えない。
「ストーカーですか?」
 後方から秘書が事も無げに言ってのけて、弁護士が
「失敬だな」
 わざと憤慨した様子を見せる。
「今日こそは一緒に来てもらうぞ」
 弁護士は社長ではなく秘書に向かって、挑戦的な態度をとる。秘書ははっ、と笑い飛ばして肩をすくめた。
「いいな、今度こそ一緒に」
「───…あのな」
「なんだ」
「俺は行けない」
 雪が降ったらしいから北海道へ行こう、と、弁護士は二週間ほど前から繰り返してはフラれているのだ。






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あきゅろす。
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