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無作法な指先




「…だから何でうちに入り浸るんです。新川さん」
「つれねえなあ、御津谷。たまに愛想良くっても罰はあたらねえと思うぜ」
「愛想ふって良い事でもあるんですか」
 言いながら御津谷は新川がぺらぺら捲っていた画帳を奪い取る。
「触らないで下さい」
「いいだろ、減るもんじゃなし」
「嫌なんです、触られるの」
「そんな事言って…」
 新川は背を向けた御津谷の腰に、後ろから腕を回すと透けるような耳朶に唇を寄せる。
「いやじゃねえだろ…?」
「画帳の話をしてるんです…」
「ふふ。そうかい。画帳を触られるのは嫌かい」
「───…っ」
「俺ァてっきり色っぽい話だと思ってたんだが」
「や、……」
「…違うのかい……?」
 膝を割った指先が筋張った内腿をそろりと撫でる。
 のけ反る様にして切ない息を吐いた御津谷を、新川は薄く笑って
「いやじゃねえだろ」
 低く言った。








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