くすりのじかん
測定。
採血。
問診。
嵌め殺しの窓から見るだけの青空が高くて、秋の色をしている。
朝食。
また測定。
そこでやっと、病的に白い顔の医者が現れる。
「今日は良く眠れたようだ」
いやに整った顔に色素の薄い麦色の髪が、医者を日本人には見させない。
「夢見は最悪だったけどな」
青年の皮肉な笑みに医者は答えないまま、聴診器を取り出して、パジャマの前を開けるように言う。
「───心音、肺音、共に異常無し」
医者はぼそぼそと独り言のように言って、カルテに何か書き込んだ。
「何か必要なものは?」
青年の足の方から、初老の医者が柔らかな声で訊いた。青年は部屋を見回して、
「ラジオかなんか、欲しいんですけど。クラシックには飽きてきたから」
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