結婚するってほんとうですか
サムシングブルー。
六月の花嫁。
ブーケトス。
そんなもの大っ嫌いだ。
桧山は愕然とビールを置いた。ほろ酔いのいい気分が一気に引いてゆく。
二十六の誕生日を目前に控え、親友───日高から飲みに誘われて、飲み屋に来た。
真夏にはまだ程遠いが、ビールが美味くなる時期である事に変わりはない。酒は美味く、つまみも良く、二人は上機嫌で盛り上がった。
日高がその話を切り出したのは、ふっ、と会話が途切れた時だった。
それまではサッカーやら野球の話で盛り上がっていたのだが、日高は何の脈絡もなくそれを口にした。
「そうだ、俺、見合いするんだ」
まるで気軽な口調だった。酔いの浮かぶ細目た目で、えへ、と笑うが、桧山は頭から冷水を浴びせられた気分で日高を見つめた。
「……見合い?」
「親戚のおばちゃんがさー、写真持って来ちゃったわけよ」
デパガよ、とへらへら笑う。ぐらぐら揺れる頭で、桧山はなんとか冷静に、
「へぇ」
と返した。
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