加虐被虐
済し崩しにされたい。
乱暴なくらいがいい。
決して口には出さないけれど。
加虐被虐
サドマゾ
なにかというと「親愛の情」みたいなキスを頬や額にする鎌田に、俺は顔をしかめてみせた。
「ん?」
美男子のくせにふにゃりと笑う。
「うぜ」
「…どしたの、青海」
「うぜえ」
「俺が?」
その問いには答えない。
優しい目元に苦笑いを滲ませる。俺はふいと目をそらして、緩んだネクタイがひっかかるYシャツの襟を掴む。
力じゃかなわないから、せめて奇襲をかけてやる。
開いた襟の奥、首筋のきわどいあたりに噛むようなキス。
「……青海」
ほんの少しとがめる、笑った声が言う。
「困ったな…」
[≪][≫]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!