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永遠

  永遠エテルニタ


「愛が続くことなんてないってのは、多分、誰かを、本当に愛した事がない人しか言わないよ」
 秋も深まってきたので、とうとう脳までロマンスの毒が回ったらしい。隼人は枯れ葉の敷き詰められた歩道を見ながら、そんなことを呟いた。
 俺はただこの季節が早く通り過ぎるのを祈るばかりだ。冬になれば隼人も少しはまともになるだろう。
 台所からはにくじゃがが煮える良い匂いが漂って、炊飯器が湯気を吹き出し始めた。
「焦げるぞ」
 ガスの火を弱めて窓辺の隼人に声をかけると、台所に戻ってきて、不意にぺとりと後ろから抱き付いた。
「何するこの馬鹿」
 口より先に手が出て、隼人は叩かれた額を押さえて苦笑する。
「義和さんは、愛とか言わないね」
「言うか、恥ずかしい」
「言わない人が、きっと一番、愛を知ってる」
 すっかり呆れて溜息しか出てこない。
 隼人はもう一度、しつこく後ろから抱き付いて、小さく笑った。

永遠があればいいのに。









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