after... C
僕は、少しぬるくなったコーヒーを飲んだ。苦かった。
砂糖を、入れ忘れていた。
向かいに座った彼は、甘いホットケーキを、苦しそうに食べていた。
窓の外は、益々曇って、今にも降り出しそうだ。
そして、その下に広がるのは、変わってしまった町並み。
此処に在るのは同じ住所、同じ道、同じ学校だが、僕の知っている町ではない。
僕の町はもう、僕の記憶の中にしかない。
それはきっと、卒業したそれぞれが、いずれ抱くだろう、想い。
同じ場所に、同じものがあり続けるほうが稀で、自分と同じものが見える、他人は居ない。
例えば、少年たち(かれら)のように。
僕は、彼を見た。相変わらず、フォークをぶすりと突き刺し、食べていた。
「おじさんは、どうしてニートなの」
顔を上げた少年は、強い口調で聞いた。
「だから、おじさんでもないし、ニートでもない。フリーターだ」
「だから、どうして」
「それは」
それは。
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