平凡と俺様
A
俺でも知ってる超高級の腕時計をさり気なく身に着けた奴の腕を掴まれた手首ごと引けば、キラキラ光る文字盤が眩しいぜ・・・じゃなくて時間だ!
銀色の針が指すのはええ・・・っと数字が書いてないから分かりにくいな。
帝臣が後ろにいて、俺も同じ方向からこの時計を見てるわけだから・・・短針が9時で、長針が20分くらい。
ほう、9時20分か。
「って・・・ギャー!」
俺、暢気に確認してる場合じゃないじゃん!
さっきパンフレットで確認した入学式開始の時刻は9時半だった・・・はず。
っていうかはずじゃなくて、絶対にそう。
俺、入学式のパンフレット貰ったときから何回も確認してるんだから〜ってだからそんなことも言ってる場合じゃないって!
「ヤバイ!ヤバイってコレ!」
突然大声を上げた俺にさすがの帝臣もビックリしたらしい。
ちょうど緩んだ帝臣の手にチャンス!とばかりに走り出したのはよかったんだけど。
「ぐえっ!」
ひょいっと襟首を掴まれて、喉が絞まる。
苦しい!苦しい・・・って!
それにしてもこの扱い・・・俺は猫か?犬だっつーの!って・・・ペットじゃないって言ってんだろ〜!
と脳内一人ノリツッコミを始めた俺ってば相当テンパってる!?
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