平凡と俺様
B
「帝臣!」
しかしそんなちょっと危ない俺の思考より、今の問題はコイツだ!
「そんなにこの時計が欲しいのか?」
「はぁ!?俺は時計より時間が欲しい!!!ってああ!!!1分経った!俺、入学式!新入生の挨拶しなきゃだから絶対出席しないと!っていうかサボったら兄ちゃんに何されるか分からないし!だから分かった!?いい子だからこの手、離しなさ〜い!!!!」
とんちんかんなことを言う帝臣はの力はさほど強くはないが、俺が非力なのか・・・その手は一筋縄ではいかないみたいだ、チクショウ。
首を捻ってちょうど真後ろにある手をどうにか剥がそうと必死なんだけど、帝臣はそれを嘲笑うかのようにひょいひょいとかわしてしまう。
「だぁあああ!もうホント離してっ」
このまま遅刻すすれば兄ちゃんから愛の鞭という名目でお仕置きが実行されるのはほぼ確定なんだから!
その恐ろしい刑の数々を思い起こして半ば涙目になっているだろう俺が、思わず帝臣に縋る様な目を向けてんのは仕方ないんだからな。
ああ、俺を助けると思ってその手を離してくれ!!!!
「・・・チッ」
って舌打ちかよ!?人に向かって舌打ちなんて行儀悪いぞ。
しかしやっと分かってくれたのかその音と共に手が離され・・・よし、しょうがないからこの件については目をつぶってやることにする。
「よしよし、いい子いい子」
ついでにいい子の帝臣くんには弟たちにやるみたいに頭を撫でてやろうじゃないか。
「じゃ、そういう訳で俺急ぐから。また後で遊んでやるよ〜」
意外にも柔らかいこの髪の感触はなかなかに離しがたかったけど、俺は行かなければならないのだ。
何故か呆然としている帝臣にぶんぶん手を振りながらそこを後にすると、俺は猛ダッシュで講堂へと向かう。
時刻は9時25分・・・ギ、ギリギリでもいいから間に合ってくれ〜!
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