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私立月見里学園高等部
B
 にっこり。

ある事情で中学の半ばから得意になってしまった営業スマイル。

母さんも(伊近も)これなら文句を言わないし、いくら相手の態度が失礼だといっても目上の人には敬意を払わなければならない。

というのがうちの教育方針で、案の定目の前のおじさんもいくばかりか俺を見る目が変わったらしい。

「なんだ、編入生か。全く、こっちは裏門からの道だぞ?寮は正門からまっすぐ校舎の方に向かってそこから右だ」

 しかしけんのある話し方は健在で、やはりどこか見下した感があるのは否めない。

ってさっきのは裏門だったのか!?

すっかり聞き逃してしまうところだったが、なるほど。

どうりで辿り着けなかったはずだ。

 一人で納得していると、下から偉そうな声が掛かって、慌てて視線をそちらへと向ける。

「君、編入生だと言ったな。名前はなんだって?仕方ないから私が連れて行ってやろう。ありがたく思いなさいよ」

 パラパラとどこからか取り出した書類(名簿か?)を捲りながらそう言ったおじさんに、言い方はどうであれ意外と親切だなと感じた俺は、もう一度改めて名前を告げる。

「月見里新名です。漢字は…

「えぇっ!?」

…は?」

山と果物の梨じゃなくて…と変わって間がない名前の説明をしようとしたら、それを遮るようにすっ頓狂な声が上がった。

何だ?

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あきゅろす。
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