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私立月見里学園高等部
破天荒な寮長
「遅刻をしてきたっていう困った子猫ちゃんがいるのはここかい?」

 何となくそれから談笑ムードに入り、父さんの学生時代の逸話の色々を聞いていた時だった。

突然響き渡った、そんな穏やかな雰囲気をぶち壊すようなハイテンションな声に、普段あまり表情の変わらない俺でさえ目を丸くしてしまう。

しかし、管理人さん2人はそうでもないらしい。

小野寺さんはなんとなく呆れた面持ちで、磯村さんの目には光が宿ったような気がした。

一体、どんな人だって・・・。

 ハイテンションな声の主を見ようと、そちらに顔を向ければ、なんとそこにいたのは異国の国の方だった。

こ、この学校には外国人の生徒もいるんだな・・・。

 日本人は欧米人に弱いという通り、俺もその自分とは違う目の色に思わず緊張してしまう。

そんな彼の深い海のような目が俺を捕らえ、そして向けられた笑顔に、思わず鳥肌が立ってしまった。

もちろん悪い意味ではなく、いい意味でだ。

 伊近の笑顔もとても綺麗だったが、この人の笑顔は何か知らない力を感じる。

なんと評していいか分からないが、とりあえずとても迫力のある笑顔だ。

 思わず呆然としてしまっていたのだろう、気付けばその彫りの深い顔が間近に迫っていて、俺は慌てて意識を元へと戻す。

「・・・あの、離れてもらえませんか」

とりあえずあなたのその顔を至近距離で見せられるのは心臓に悪いので。

 控えめに声を掛ければ、彼は驚いた!というようなオーバーなリアクションで俺から渋々と離れていく。

お、そういえば俺日本語で言ったのに通じたな。

よかった、英語の問題は解けても英会話はからっきしな俺としては一安心だ。

 それにしても突然現れたこの人は誰なんだろう?

俺と違って制服を着ているから、生徒だってことは確かなんだが・・・。

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