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私立月見里学園高等部
A
 そんな俺の疑問を解決指定くれたのは他でもない、その突然現れた彼自身だった。

「遅刻した子猫ちゃんというのは君かな?え?何で分かったのかって?そりゃ俺のこの素晴らしい頭脳は全校生徒の顔と名前を記憶しているからさ!君とは初めてあった気がしないが、今日が初対面だろう?・・・っと俺としたことが初対面の子猫ちゃんに名乗るのを忘れるとは何たる失態っ!申し遅れたが、俺の名前は相澤・R・アシュレーだ。2年生でA棟の寮長を任されている。以後お見知りおきを」

と、磯村さん以上のマシンガントークっぷりだったが、彼、相澤先輩の方が滑舌がよく、よく通る声はとても聞き取りやすい。

外国人だと思っていたが、名前からしてどうやらハーフのようだ。

でも、最後に俺の手の甲を取ってキスするところなんか、まるでどこかの外国の貴族のようで、先輩の容姿にはとても似合っていた。

まあ、相手が俺だから様にはならないだろうが。

 でも、そんな寮長がどうしてここに?

「君が遅刻をしていると聞いたから、迷子にでもなっているんじゃないかと探しに向かおうとしたところ、磯村さんが代わりに行って下さってね。俺は部屋で待機をしていたんだが、見つかったということを聞いてこうやって馳せ参じたわけだよ。君の案内係だからね」

とそんな疑問を感じれば、また絶妙のタイミングで答えを出さてしまう。

多分先輩は伊近のように以心伝心ではなく、本当に間のいい人物か、それかあとはただの偶然か・・・。

「というわけでそろそろ名前を聞かせてくれないかい?案内をするというのにずっと”君”ばっかりじゃ恰好がつかないからね」

・・・多分偶然だろう。

しかし、思ったことをすぐに口に出せるというのは羨ましい。

「・・・月見里新名です。遅刻してしまってすいません」

 俺は口下手でなかなか自分の言いたいことを口に出せないから尚更だ。

今だって、本当は案内してくれることについて感謝を述べたいのに、うまく伝えられない。

しかし、先輩は嫌な顔ひとつせず、それどころか笑顔でドアの方へとエスコートしてくれる。

こんな仕草でさえ様になるのだから、欧米人顔というのは得なものだ。

 そんな先輩に続いて管理人室を後にする前に、小野寺さんに小さく会釈すると、穏やかな笑顔で手を振り返してくれた。

また遊びに来てもいいかな。

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