私立月見里学園高等部 ついていけない 「や、月見里新名様ですって!?」 いきなり態度を180度変えたおじさんは、驚きに目を見開いたまま書類と俺の顔を何度も見比べている。 いや、本当に何なんだ? 「な、ななんと!りりりりり理事長様のご子息の新名様とは・・・」 どもりすぎの彼の言葉に、自分の父親の顔が思い浮ぶが、何が言いたいのやら。 別に父さんと俺は関係ないと思うんだけどな・・・? って言ったら父さん拗ねるだろうけど。 まあでも確かに理事長の息子なことに変わりはない。 肯定するように小さく頷いてみせると、おじさんはそりゃもう土下座しそうな勢いで頭を下げてきた。 「ももももももも申し訳ございません!!!まさか、ご子息がお付の者もつけず、こんな裏庭を歩いているとは思いもしませんでしたのでっっ!!!!」 こっちが唖然としてしまうほどのスピードで頭を下げる様に、逆に感心してしまう。 あんなに頭振って、気持ち悪くないんだろうか? とりあえずそのまま放っておくわけにもいかず、止めるようにお願いすると、更にペコペコと何度も頭を下げられてしまった。 全く、本当に意味が分からない。 それもこれも伊近が「新名は知らなくていい」とあまり学園について教えてくれなかったせいじゃないのか? こんなに奇妙なおじさんがいるのなら、先に教えてほしかった。 俺じゃあ対処しきれない・・・。 [*前へ][次へ#] [戻る] |