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てらすひかり
こんな日常なら繰り返す価値もあるってもんだ。
そうだろう?





照らす





ちょうどよく目のあたりに差し込んでくる光が余りに眩しくて、観念して重い瞼を持ち上げた。
しかし、瞬間、まだ明るさに慣れない瞳には強すぎたそれは何ものかによって遮られた。
それが何かなんて分かっていた。一週間ぶりだ。

「Good morning,darling」

Long time no seeとかなんとか囁きざま、覆い被さるかのように頭の両脇には既に彼の手が置かれていて。
すぐ目の前には強い光を放つ彼の左目。不思議と眩しくはない。(ああ、俺はこの方の右目だからかもしれない)

「おはようございます、政宗様」

言った時には既に互いの吐息がかかるくらいに顔が近付いていた。
スプリングが軋む音が妙に耳についた。

「ん」

まるでアメリカ映画のワンシーンのようだと思った。軽く押し付けられただけの唇が、ちゅっ、と音をたてて離れていく。妙に生々しい音が耳を犯す。眠気が抜けて頭が覚醒していく感じが俺を満たした。

「学校は」
「ん、休む」

test終わったからな、
悪びれもしない態度には呆れるを通り越して最早感心する。

視界の端に捉えた針は8時を指している。
学校に連絡をいれなくてはとか報告書を書かなくてはとかいろんなことを考えたけれど。

「Do you think anything?」

不敵に揺れる左目に魅せられて(どうして隻眼が美しいと思うのだろう。欠落しているからこそ美しいのだろうか)、どうでもよくなった。

「別に」

どちらも特に急ぐ必要はない。

「何も?」

細い首に腕を絡めて、少し力をこめてやると簡単に立場は逆転した。
逆に伸ばされてきた白い手に頬を包まれる。低い体温さえも心地よかった。

「    」

誘われるままに首筋に顔を埋める。
時計は8時5分を指そうとしていた。



("I miss you "それはきっと貴方の精一杯のあまえ)






リハビリ小政。
…いろいろすんません。


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あきゅろす。
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