darling(小十郎ver.)
『彼女の失態はプロジェクトのリーダーの君の責任だろう』
畜生、糞くらえ。
何が上司だ。口が上手いだけで実力もない狸オヤジ共がいい気になりやがって。
あの女…帰り際の猿飛の話によるとクソ狸とデキてるらしい。そういえば…先週あの女に告白されてフった。そういうことか。
やだやだ大人の世界は汚ねぇなぁ。
そこまで考えてふと気づくともう家のドアの前だった。
半ばイライラしたまま開く。俺は今たいそう機嫌の悪そうな顔をしてるんだろうと心の端で思った。が、どうだってよかった。
「ただいま帰りました」
「Oh!おかえり小十郎。早かったな」
扉の向こうには愛しい人の笑顔。政宗様はすぐに俺に駆け寄って抱きついてきた。
「疲れた面ぁしてんじゃね―よ」
「(やっぱり…)あぁ…すみませ…」
「俺は小十郎の笑った顔が好きだぞ」
言われて、一瞬放心して。体に溜まっていた物が全部抜けたような感覚。何でだか自分にも分からなかったけれど。どうもこの人には敵わない。この人が、好きだ、と言っただけで頬が緩む。同時に思い出す。この人には俺しかいないのだ。もっとも俺にも政宗様しかいないけれど。政宗様が卒業するまでは俺が頑張らねば。
「ええ。俺も政宗様の笑顔が好きです」
俺なんかを頼ってくださる貴方のためならば、あんなことはどうでもいいことなのだ。
嬉しそうに微笑んだ彼を両腕で包み込む。そうか、と呟く声が耳に溶けた。
貴方が傍にいてくれることが一番の幸せなのだと思った。
(貴方がいるだけで)
終
癒されようシリーズ小十郎編
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