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Long
金の子供 3
「お前さ、このガキをどうしたい訳?だいたい此処まで連れて来るなんて…馬鹿だろ、いや馬鹿だ」

サソリは眉間に手を置きうなだれた。


「いや…ただ死なせたくなかっただけなんだよな……」


ぽつりとデイダラが言った。


「オイラはコイツを死なせたくなかった。なんだか分かんねぇけど、凄く気になるんだ」


どこか楽しげに語り出した。そしてあることがデイダラの中で閃いたらしく、サソリに宣言した。

「旦那!この子供はオイラが育てるよ、うん!!」


「………ハァッ?!」



物凄い問題発言をしたデイダラは意気揚々と子供のいるサソリの部屋へ入っていった。サソリは暫くの間固まっていたが、事態が予期せぬ方向に向かっていると分かり、急いでデイダラの後を追って部屋に入った。


デイダラは今はサソリのベッドで寝ている子供の髪を優しく撫でていた。


「オイラはどうやらお前に惹かれたみたいだぞ?責任を取ってもらわないとな…うん」

「ってちょっと待て阿保っ!」


慌てながらとデイダラの元に近寄った。息を荒げ、つかみ掛かった。

「お前はそういう趣味なのか?!しかも子供を誘拐したのと変わんねぇぞ!」


「旦那、この子はオイラが見つけた芸術なんだ。ほら、オイラ今日刺激がどうのこうの言ってただろ?だから」

「だからじゃっ…」
「五月蝿いな…お前達何をしているんだ?」


「「――あっ!」」


扉のところに立っていたのは、うちはイタチ。そして後ろからは

「2人共何言い争ってるんですか?」


鬼鮫が顔を現した。どうやらイタチと鬼鮫は任務が終わり、この基地に帰って来たらサソリの部屋から言い争っているような声が聞こえ、様子を見に来たらしい。サソリが状況を2人に説明した。




「ほぅ…。で、その子供とは一体誰なんだ?」


全部聞き終わりイタチはサソリに尋ねた。

「いや…あっ」

今更ながらこの子供の名前を知らないことに気付いた。


「デイダラ、あのガキってなんて名前だ?」


「オイラ名前なんて知らないぜ?」



「「「………」」」


それぞれ唖然としてデイダラを見る。


(この糞馬鹿がっ…)


(………)


(本当に知らない子を連れて来ちゃったんですね…)


流石に気まずかったのか少しデイダラは俯いた。このあんまりな状況に皆は沈黙したままだった。しかしイタチが一先ず先に進めるべく行動に出た。

「何処の里の子供なんだ?それくらいは分かるか?」


デイダラに問い掛けた。そうすると思い出したらしく顔をガバッと上げた。


「そうだ木ノ葉!!イタチと同じ里の子供だぜ!」

どうだとばかりに言うがサソリに殴られた。


「木ノ葉か…なら、もしかすると分かるかもしれない。子供は何処だ?顔を見る」

「あぁ、ガキなら俺のベッドの上だ」

窓際にある自分のベッドを指差すサソリ。イタチはそこへ向かった。ベッドの上には金色の髪をサラサラと流しスヤスヤと眠っている男の子がいた。子供を見た瞬間、イタチは言葉を失った。



――何故この子が此処に?!




子供の近くで固まったまま動かないイタチに気付き、心配そうに鬼鮫がイタチに声をかける。

「イタチさん?どうしたんですか?」

しかしイタチには鬼鮫の声が届いていないかのように無反応だった。それにはデイダラもサソリも何事かと声をかける。


「イタチ、どうしたんだ?うん?」

だが反応は鬼鮫の時と同じ。

「そいつ知ってんのか?」


サソリの問い掛けにピクリと反応を示した。そしてやっと口を開いた。


「あぁ…知っている。知っているさ。」



ゆっくりとこちらに振り向いたイタチは、何故か悲しそうな表情だった。

「この子はうずまきナルト……。器」


「器?器ってなんだよ?」


訳が分からないとデイダラが聞いた。



「木ノ葉の人柱力。つまり…」


一旦言葉を区切り、また口を開いた。

「――九尾の器だ」



「「「――――?!」」」





3人は息を飲んだ。
重くのしかかってきた言葉は、想像以上の衝撃を与えた。

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