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愛のために
おでかけイコーナ7
「うーん……。なんだかさっきよりも人が増えてる気が……」


リボーンの頼みにより、再び祭りの会場へ降りてきたレイナスだったが、お目当てが見つからずフラフラと周りを歩き回っていた。


「ぐぴゃぁぁああ〜!!!」

「……それでもランボの見つけやすさは変わらないな……。
今度はどうしたんだろ」

うんざりした顔で泣き声のする方へ向かう。



「ベタベタするもんね〜〜!!!」

「もじゃもじゃが増えてるーーー!!」


頭に綿菓子をくっつけたランボの姿を見てレイナスは愕然とした。
どうしよう、とおたおたするレイナスの耳に聞き覚えのある声が届く。


「わあ大変!」

「水道の所に行きましょうか」

「京子ちゃん!ハル!イーピンも!」


ランボの声を聞きつけたらしい3人がこちらに向かってきた。
丁度探していた人達に会えてレイナスは安堵の息をつく。


「リボーンがね、花火の隠れスポットがあるからみんなを呼んでこいって」

「はひー!素敵です−!」

「ますます花火が楽しみだね!」


みんなで水道に向かいながらワクワクと花火の話をする京子達。


「でも大丈夫かな、ツナ達……」

「レイナスさん?どうかしましたか?」

「ううん、何でもない」


水道で軽く髪を濡らしてタオルで飴を拭き取っていく。
ランボはうへー、と舌を出した。


「まだベタベタするもんねー」

「帰ったらしっかり髪の毛洗わなきゃね」

「ランボさんレイナスとお風呂入るもんねーー!」

「え……僕疲れてるんだけど……」


まだまだ元気なランボにぐったりと言葉を返すレイナス。
その様子を見たハルと京子がふふふと微笑ましそうに笑う。


「仲良しさんですねー」

「なんか寄ってくるんだよねこのお子様」

「レイナスはランボさんのお嫁さんなんだもんね!!」

「それ断ったよね僕」


堂々と宣言するランボをレイナスが淡々と切り捨てる。


「フフフフフ」


みんなで談笑しながら先程の階段まで向かっていたが、あるものを見つけてレイナスがごめん、と切り出した。


「僕ちょっと外す。みんなはこの先の階段を上がったところにいるはずだから」

「ええっレイナスさん!?」

「先に行ってて!」


そう言い残し、レイナスは見知った背中を目指してパタパタと駆けていった。



「雲雀っ!!よかった、無事だったんだね」

「あんなのどうってことはないよ」


無傷の雲雀を見てレイナスがホッと目を細める。
雲雀はさも当然と言わんばかりに鼻を鳴らした。


「それより、何で君また一人なの」

「何でって……」


雲雀の問いに少し言いよどむレイナス。
雲雀はスッと目つきを鋭くした。


「そうやってふらつかれるとまた風紀の仕事が増えるんだけど」


雲雀のその言葉にレイナスはパチパチと目を瞬かせた。


「……また……?」


レイナスの不思議そうな声を無視し、雲雀はくるりとレイナスに背を向ける。


「それで?」

「えっ?」


行ってしまうのか、と雲雀を見送りかけたレイナスだが、雲雀が何か話しかけたのが聞こえて慌てて雲雀の後ろを追いかける。


「なにか用事なの?」

「用事っていうか……大丈夫だったんだなって、声をかけただけだよ」

「そう」



会話が途切れ、レイナスが落ち着かない様子で雲雀の背中を見つめる。

そう、自分から寄っていったのはいいが無事が確認したかっただけで他意はないのだ。

なんとなく着いてきてるが綱吉達のもとに戻るべきだろうか。

何も言ってこない雲雀にレイナスがぼんやり考える。


「……もうすぐ花火が上がるけど」

「うん?」


歩みを止めずに雲雀がポツリと口を開いた。


「一緒に見るかい」



レイナスは一瞬、何と言われたのか理解できずに思考を止めた。
思いがけないことに足まで一緒に止まり、雲雀との距離が開く。
ニメート程度離れたところで雲雀も一旦足を止めた。



「嫌ならいい」


僅かに顔だけで振り向いて言い放つと雲雀は再び歩き出した。
レイナスはハッとして雲雀のもとへ駆けていく。
今度は後ろではなく、雲雀の隣に並んだ。


「嫌じゃない」

「そう」

「一緒に見ていい?」

「好きにしなよ」

「うん!」



雲雀からこんな風に誘われること、今までなかった。
レイナスは何となく雲雀との距離が縮まっていくのを感じて心が温かくなる。

隣から見える雲雀の表情はレイナスの想像していたいつもの飄々としたクールな雲雀とは違っていた。

柔らかく唇を緩める雲雀はどこか穏やかな雰囲気を纏っているように見えて、レイナスも思わず頬を緩めるのであった。



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あきゅろす。
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