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愛のために
おでかけイコーナ
夏休みのとある一日。
学校がないのをいいことに昼まで寝転ける綱吉を置いて、レイナスはリビングでママンの作った朝食を食べていた。
珍しくリボーンが朝食の席に現れず、レイナスは寂しい気持ちで食器をかたした。

そして夏休み中に読破することを決めた日本語の児童書を手にしてソファーへと腰掛ける。
しおりを外し、ハラリと1ページ読み進めたところで、不意に自分を呼ぶ声が聞こえた。



「レイナス」

「リボーン!どうしたの?」


突然姿を現したリボーンに驚きつつ、レイナスは嬉しそうに声を上げた。


「お前がこっちに来てから、大して構ってやれてなかったからな」


リボーンが少し帽子を傾け、ニヤリと不敵な笑みを浮かべて言った。


「久しぶりにデートでもするか」


「デート……?リボーンと……?」


呆然と呟くレイナス。
リボーンは答えを知りつつわざとらしく尋ねた。


「嫌か?」

「そんなわけない!そんなわけないっ!!
ちょっ、ちょっと待っててね!?準備してくるから!!!」


リボーンの問いに全力で首を振ると、レイナスは慌てて階段を駆け上がった。

何も言わずにそれを見送ったリボーンだが、何分待っても戻ってこないレイナスにしびれを切らしてとうとう綱吉の部屋へと足を進めた。



「何やってんだレイナス」

「リ、リボーン!!ちょっと洋服を選んでて…………」


リボーンがドアを開けると、そこには自分の服をこれでもかとぶちまけるレイナスの姿があった。


「それならこれがいいぞ」


見かねたリボーンがレイナスが普段よく着ている重ね着風のシャツと白いクロップドパンツを拾い上げる。


「わ、わあー、ありがとう!
僕のお気に入り覚えててくれたんだね……?」


デートだからと気合いを入れた格好がしたかったレイナスは少し複雑そうに普段着を受け取った。
そんなレイナスを知ってか知らずか、リボーンはあっさりとした様子でレイナスを促す。



「じゃあ行くぞ。丁度足も着いたところだ」

「あ、足…………?」


リボーンの言葉にレイナスが思わず聞き返す。

リボーンの返事より先に窓の外から車が停まるような音が聞こえてきた。
外を覗けば、そこには見知った男が一人、立派な外車から顔を覗かせ手を振っていた。





「…………なんでシャマルがいるの」


リボーンに急かされ車に乗り込むなり、レイナスがムッスリとした表情で言った。
わかりやすいその表情にシャマルはいつものにやけ顔で返す。


「不服そうだな」

「当然。リボーン、電車とバスで行こうよ。なんなら家にいるルンBIGを使えば車なんて……」


せっかくのデートに第三者が、しかもこのシャマルが着いてくるのは耐えきれない。
レイナスがリボーンに訴えると、それを聞いたシャマルがおいおい、と声を上げた。


「早々にお役御免かよ。連れない事言うなよレイナス」


飄々とした様子で言ってくるシャマルを、お前も少しは気を利かせろとばかりに睨みつけるレイナス。


「せっかく来てるんだから乗ってくぞ」

「うん……」


内心肩を落としつつも、リボーンの言葉ならとレイナスは大人しく首を縦に振る。
こうしてレイナスの気持ちとは裏腹に3人デートの挙行が決定された。


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