君が好きだから無敵
3
「クラリス!お前……僕にあんな口叩くとはどういうことだ……」
「ホラホははひゅいんひゃん……っ」
実を言うと、クラリスがドラコに声を荒げるのはさほど珍しいことではない。
けれどもグリフィンドール生を始めギャラリーが大勢いる中で叱られるということがドラコを何よりも辱めていた。
練習が終わるなり、ドラコはムッとした表情でクラリスのもとへやって来るとぐぅぅっと頬をつまんだ。
クラリスは伸びたほっぺたのまま、負けじとドラコを上目で睨んだ。
譲る様子を見せないクラリスにため息をつき、ドラコはパッと指を放した。
「あの人にちゃんと謝った?」
「謝るはずないだろう」
「……僕やだよ、後ろから襲われてドラコが怪我するようなことがあったら」
クッと眉を寄せ心配そうにそう言うクラリス。
ドラコはクラリスの不安な想いを聞いてフッと口元を緩めた。
「そんなバカな心配をするな。僕より自分のことを気にしろ」
「ば……バカな心配じゃないでしょ!?今日のことは何だったんだよ……!!」
ドラコの物言いに再びキャンキャンと吠えだすクラリス。
しれっと聞き流すドラコにムムッと目つきが吊り上がるが、やがてしおらしく口を開き始めた。
「……あのね、クディッチやってるドラコ、すっごく格好良かったよ」
「当たり前だ。僕を誰だと思ってる?」
「ふふっ、僕の自慢の親友です!
試合も絶対応援する。頑張ってね!」
満面の笑みでクラリスはドラコに抱きついた。
ドラコも手に持っていた箒を捨ててクラリスを受け止める。
「……顔合わせる度に見せつけられんのか、このバカップル劇場」
「じゃあ離れてればいいのに……」
ポツリと呟いたジャックはジキルのヘッドロックを食らって沈んだ。
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