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君が好きだから無敵
罰則



「今なんと?Mr.エルブレル……」

「課題を忘れました……」

「……部屋にか?」

「……やるのをです……」


スネイプが重々しくため息を付く。
クラリスはその様子を暗い面もちで見守っていた。


何を言われても仕方がない……。
何か足らない気がしていたけれど、まさか魔法薬でも課題がでていたなんて。



「……放課後、我が輩のもとに来るように。席に着け」

「はっはいっ」


クラリスが返事をするのも待たず、スネイプはさっさと行けとばかりにクラリスを顎で促した。
クラリスは赤い顔で俯きがちに席にもどる。


「何やってんだよ馬鹿」

「ごめん!」


開口一番、呆れ顔で毒を吐くジキルにクラリスは両手を合わせて謝った。
今回ばかりはアギも下手に庇おうとしない。

スネイプの指導の辛辣さは誰もが知るところである。
なによりスネイプが監督を勤めるスリザリンの生徒が宿題を忘れるなど顔に泥を塗るようなものだ。

スネイプの苛立ちはその後の授業にもバッチリ響いた。
この調子だと放課後、スネイプがクラリスをどういびるのか、悲観せずにはいられない。


ただ意外だったのは執行猶予をもらえたことだった。

みんなの前でネチネチ罵られることを覚悟していたから、クラリスは少し安心してしまっていた。





そうして放課後クラリスが魔法薬学の教室を訪れると、そこはまだ無人であった。

改めて室内を見渡してみると何とも怪しいものである。

クラリスはしげしげと辺りを物色していった。


「……待たせたな」


しばらくしてスネイプが教室の扉を開けた。
冷ややかな目でこちらを見下ろすスネイプの姿に、クラリスはごくりと生唾を飲んだ。


「来たまえ」


短くそう言うとスネイプはクラリスを自室に招き入れた。
おどろおどろしい雰囲気に足がすくむクラリスを、スネイプが後ろからドンと押し入れた。


「さて、エルブレル……。お前はやる気があるのか?」


萎縮して縮こまるクラリスを、スネイプは腕を組み仁王立ちして見下した。


「まともに薬を作れず、レポートは制作すらしない……。
学ぶ気のないものがなぜホグワーツにいる?」

「ごめんなさい……」


しゅん、と落ち込むクラリスにピクリとスネイプの眉間が動く。


「君は現状を反省し、挽回する気があるかね?」

「はい……」

「よろしい。
ならば今日より一週間、私の部屋で罰則を行う。夜の食事を終えた後に速やかにここへ来るように。
それから今回忘れた課題もしっかりと提出すること」

「あの、罰則って具体的にはどんな……?」

「……その情報は今、君に必要あるのかね?」

「ないです……」


スネイプの迫力に圧されてクラリスは俯きながら言った。


「じゃあご飯を食べたらまたきますね……失礼しました」


逃げるようにスネイプの部屋を飛び出したクラリス。

あの冷たい瞳に晒されて一週間も心臓が持つだろうかと不安になった。




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あきゅろす。
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