甘凌
一緒にねよ?
小鳥が囁く声とともに凌統は目を覚ました
窓からはうっすら光が差し込んでいる
どうやら夜明けらしい
凌統は寝付けなくて外の空気を吸おうと、ゆっくり寝床から起き上がる...つもりだったのだが、それは恋人である甘寧によって阻止された。
「...ん、離せよ...馬鹿力」
言ったはいいものの相手からの返事はない。
凌統は恐る恐る甘寧の顔を覗いた
その瞬間、甘寧を上から見ていた視点が反転した
そう、「押し倒された」ということだ。
「...!なんだよ...!」
この状況に驚きつつ必死に逃れようとする。
だが、それは叶わず簡単に抑え込まれてしまった。
「.....寝れねぇのか?」
心配そうな声で甘寧が言った
「誰かさんが勝手に人の寝床に入るから、寝付けなかったんだっつの!」
少しは反省するだろうか...と思った凌統だったが
その思いとは裏腹に、
「いや〜!悪ィ悪ィ〜」
と、全く反省してない様子で
凌統の額に口付けをした
「っ!おい!」
「まっ!そんな怒んなって!最近あんま寝れてねぇんだろ?陸遜から聞いたぜ。」
あの軍師さんに言ったのが間違えだったのか...
いや、でも自分はただ、最近寝付けなくて困っていると相談しただけで、なにもこんな暑苦しい奴を連れてこいなどと言ってはいない
「あんた、帰れよ...うるさくて寝れやしないんだけど。」
本当は目が覚めて甘寧がいた事が少し嬉しかった。
いや、ほんとに少し。
ただ彼は残念ながらそれを言えるほど素直ではない。
できることといえば可愛くない言葉を吐くぐらいだ。
「はぁー...せっかく来たのによ...」
すっかり落ち込んでしまった甘寧は、だがやはり凌統の腕を掴んだまま、むしろ凌統を抱き込んでしまった。
「お、おいって!!あんた!何やってんだよ!!」
凌統の言葉に耳を貸さず、
「おやすみぃ〜」
と軽く言い放ち、眠ってしまった。
どれだけ自分勝手なんだか...と少々あきれていた凌統だったが、甘寧に抱かれている内に睡魔がゆっくりと襲ってきた。
(こいつホントに寝付けない時によくきくんだな)
と、心ごちながらその睡魔に誘われるように凌統も眠りについた
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