企画 ★贈り物 (沖田総悟) 真夜中、一仕事終えて部屋に戻ると、沖田の布団で枕に顔を埋めるように眠る名前の姿があった。 沖田は足音を立てないようそっと枕元へ忍び寄り、中腰になって名前の顔を覗き込む。 薄明かりの中、すやすやと眠る名前に沖田は優しい笑みを浮かべた。 その身体を揺すって起こそうか少し迷ったが、結局伸ばしかけた手を止める。 隊服のポケットの中から小さなプレゼントの箱を取り出し、そっと枕元へと置いた時、名前の目が薄く開いた。 「…おかえり、総悟」 名前は普段沖田のことを苗字で呼んでくるくせに、こういう二人きりの静かな時にだけふっと思いついたように下の名前で呼んでくれる。 その声が今夜はやけに特別に響いた。 「すいやせん、起こしちまいましたか」 「ううん。待ってたからいいの」 眠たげな瞳で柔らかく微笑む名前の頬に沖田はそっと冷たい手を当てる。 外は雪がちらつく程の寒さで、手も身体も相当冷えていただろう。 しかし名前は沖田のその手の平を目を閉じて愛おしげに受け入れた。 「名前」 化粧もしていないのにほんのり綺麗な色をした唇に、沖田は自分の唇を一度重ねる。 「クリスマス、終わっちまったねィ。後始末全部土方さんに押し付けて急いで帰ってきたってのに」 「約束してたわけじゃないから気にしなくてもいいんだよ」 「名前がさみしがってんじゃないかと思ったんで」 沖田は名前に覆いかぶさるようにして、さっき名前の枕元に置いたプレゼントを手に取り身体を起こす。 「それ、ひょっとして私に?」 「着けてやらァ、そのまま待ってて下せぇ」 そのまま、と言われても何をくれるのか気になるらしい。 名前は腕を後ろにつき身体を少し起こす。 沖田は妙に真剣な面持ちで包装を雑に破り、中身を取り出した。 それは細いプラチナの鎖に雫形にカットされた石が揺れる繊細なアンクレットで、ひと目にして心を奪われるような、そんな贈り物だった。 かかっていた布団をめくり、名前の細い足首に、沖田が恭しくそのアンクレットを着ける。 「きれい…ありがとう総悟」 膝をついた沖田の太ももの上に乗せられた自分の足首に光るアンクレットを見て、名前が嬉しそうに目を細めた。 「私も用意してるんだよ、ちょっと待ってて…うあっ!」 立ち上がろうとした名前の足首を沖田が掴み、そのままぐいと高く持ち上げられる。 その勢いで名前は再び柔らかな敷き布団に背中を押し付けられた。 寝衣が捲れ下着が露になりそうな際どい格好を取らされ、名前は目を丸くする。 沖田が名前の足の間に身体を滑り込ませ下半身を密着させると、艶っぽい表情で名前を至近距離から覗き込んできた。 「先に名前をいただきやす」 ちなみに拒否権はないんで、と耳を食みつつ沖田は名前の身体に手を這わせてくる。 「この石はなんて名前の石?」 沖田の愛撫を受けながら、名前は自分の足首を持ち上げてキラリと幾多の光を複雑に放つ石をうっとり見つめる。 「ああ、ダイアモンドでさァ」 その一言に名前が絶句し、がばりと身体を起こした。 沖田によって乱された寝衣と素肌に散らされた赤い跡がやけに淫らで、沖田は名前の驚きをよそに急かされるように隊服を脱いでいく。 「そんなさらりと…!これ、粒がやけにでっかいんですけど!」 「名前によく似合ってますぜ」 「あ、ありがと…じゃなくて、こんな高価なものいいの?私のプレゼントなんてアイマスクのスペアだよ!?」 「最高じゃねェか。これで堂々と昼寝できらァ」 「いつもしてるじゃない」 「名前からもらったのは特別でィ」 服を脱いだ沖田が、寒ィと身体を震わせてがばりと名前を抱きしめ二人を包むように布団をかける。 布団のなかでかたくかたく抱きしめあい、愛しい気持ちを言葉ではなく身体で伝え合った。 [*前へ] [戻る] |