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企画
受難の幕開けに(笹塚)
「お願いだから嘘だって言って」

私の言葉に笹塚さんはそっと静かに首を振る。

「もう決まっちまったことだから」
「そんな簡単なことじゃない!」

笹塚さんの身体を誰も居ない休憩室の壁に押し付けるようにして、私の行動に驚き目を見開く笹塚さんの唇を無理矢理奪う。
自分より温度の低い唇が何か言いたげに開こうとするのを強引に角度を変えて塞いだ。

お願いだから、お願いだから冗談だって言って。

笹塚さんからは煙草の香りがする。さっきまでこの口で煙草を銜えていたからだ。
だけどひやりとした舌は何の味もしない。
私を押しのけようとすれば簡単にできるはずなのに、どうして動かないんだろう。
まるで私が気の済むまで、嵐が去るのをじっと待っているかのようにされるがままだ。

…悔しい。

唇を噛み笹塚さんから視線を逸らす。

「…終わった?」

どこまでも冷静な声。
ぎり、と手に力がこもる。持っていた書類がくしゃりと折れた。

「私は納得できない」
「俺の指示じゃねーよ…ま、名前には同情するけどな」
「だってこんなの酷いじゃない!」
「そーね」

私の手から書類をそっと奪い取ると、ふうと溜息をつき私の頭にそっと大きな手を置いた。

「笹塚さん、笛吹さんと仲良いんですよね」
「まあ昔からの付き合いだけど」
「何とかして下さいよ」
「無理だな」

色仕掛けは失敗。ストレートなお願いも失敗。
残された作戦は…無い。

「諦めな、名前。石垣もあれはあれで役に立つこともある…かわかんねーけど、ま、この事件の間だけだし鍛えてやって」
「笹塚さんはいいよね。正直ちょっと嬉しいでしょ」
「…名前には悪いがかなり嬉しい」
「私は泣きたい」

私の抱える事件は結構込み入った捜査が必要で、とにかく人手が要った。
そこで私は笹塚さんのチームに居る等々力さんを借りることが出来ないかとダメモトで上司に頼んでみたらどうだろう。
…どこでどう間違ったのか石垣くんがヘルプにきてくれることになってしまったのだ。

「ただでさえ面倒な事件なのに、これ以上ストレス抱えることになるなんて!最初から誰かに頼ろうなんて思わなければ良かった!」
「あーよしよし、パニクる名前ってかわいいよな」
「触るな、同情するな、職場で名前呼ぶな!」
「いいじゃねーか。今は二人きりなんだし」
「どさくさに紛れて腰を抱き寄せるなーっ!」

イライライラ。
さっきキスした時の笹塚さんとは打って変わって、私を見る笹塚さんの表情は柔らかで、私は思わずほわんとその顔に見とれてしまいそうになる。
身体をぴったりくっつけるようにして顔を覗き込み、ゆっくりとした動作で唇を重ねてくる笹塚さんを、私は拒むことが出来なかった。

「名前のストレスなら俺が和らげてやるから」

今度は私が壁に押し付けられる番だった。
笹塚さんの言葉に、この状況に胸が甘く脈打ちだす。
誰も居ない休憩室。
鍵はかけたけれども、いつ誰が部屋の外を通るかわからない。
なのに笹塚さんの手はそんなこと気にもせず、私の腰をなぞり隙間から侵入しようとさわさわと動いている。

「誰かきたらどうするの」
「誰もこねーよ」

もう夜だ。仕事熱心な刑事でももう帰っているような時間。
耳朶に唇を押し付けられたまま、名前、と低く掠れた声で囁かれると、耳からダイレクトに心へと響くようで、ぞくりと身体が甘く疼く。

「今日のショックな出来事を忘れさせてくれる?」
「りょーかい。喜んで」

その言葉と同時に私のスカートがめくられ下着に手が掛けられた。




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ユズカ様リクエストの笹塚さん夢でした!
一番ツボだと言って下さったちょいエロ的な感じで書かせていただきましたが、
笹塚さんたらもうやる気満々ですねオホホホホ。
素敵なリクエストをどうもありがとうございました!
これからもどうぞよろしくお願いいたします♪
いがぐり

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あきゅろす。
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