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企画
いい湯だな(長編銀さん番外編)

かまっ娘倶楽部に強引にヘルプを頼まれ、パー子となって働いてきた銀時がげっそりとした表情で万事屋に帰ってきたのは、
深い夜をとうに超え、空がうっすら白みだした頃だった。
道を歩いていたらいきなり西郷に捕まったということもあり、女物の着物は店で借りたものだった為、
顔の化粧も店で落とし、着物も脱ぎ捨ていつもの姿でふらふらになって玄関を開ける。

「銀さんお帰りなさい。疲れたでしょ、すぐにお布団行く? あ、それとも何か甘いものでもお腹に入れる?」

ずっと起きていたのだろうか、それとも眠りが浅かったのだろうか、
眠たげな表情などひとかけらも見せず銀時を出迎えた名前を、その胸に倒れ込むようにして抱きしめる。

「こんな時間まで本当にお疲れ様でした」

その静かで優しい名前の言葉を聞きながら、銀時は自然に浮かぶ微笑に心地よいくすぐったさを感じつつ目を閉じた。
名前のぬくもりに触れていると、いつも心の底から安心する。

「香水くせーわオカマくせーわで鼻がムズムズしてんだわ。ざっと風呂入りてーんだけど」
「酔ってる時にお風呂ってよくないんじゃなかったっけ?」
「酒なんざ飲んでねーよ」

ほら、と自らの唇を名前の唇に押し当て、酔っていないことをアピールする。
そして微妙なお年頃の神楽や新八もいない為、押し当てた唇を離すことなく角度だけ変えて深く重ねると、やや強引にぬるりと舌を絡ませる。
仕事の疲れでへとへとだったにも関わらず、男の本能からくるものなのだろうか、身体の疲れとは別のところから抗えない欲望が湧き出てきて、
名前の深いところまで求めたくなる。

「……え、と、じゃあお風呂用意してくるね」

銀時の昂ぶりを感じ取ったのか、名前は濡れた瞳を恥ずかしそうに伏せ銀時の腕から離れようとする動きを見せた。
しかし銀時は名前を逃すまいと、その腕に力を込めて抱きしめる。

「神楽も寝てんだ、一緒に入ろうぜ」

耳まで赤くなった名前の耳元に顔を寄せ、わざと耳朶に吐息を吹きかけた。



朝の光が浴室を満たしはじめる中、ぬるい湯船に身を沈めた銀時は、名前を背後から抱きしめるようにしっかりと腕を胸にまわしていた。
柔らかな重み、白い肌。銀時が居なかった間の神楽とのやりとりを、小さな声で楽しそうに話す名前の声。
その全てに幸せを感じながら、銀時はただ口元を緩ませる。

「それでね、銀さんにお帰りなさいって言う為にね、神楽ちゃんとどれだけ起きていられるか競争しようってことになったの」
「ふうん」
「でもね、ホットミルク作ってあげたら飲んで五分で“もう限界アル”って眠っちゃったんだよ。ふふ、かわいいよね」

ちゃぷ、と名前を抱きしめていた腕を動かし、名前の顔を自分の方へと向けさせる。
銀時も少し体制を変え、名前の唇に自分の唇をゆっくりと被せた。
名前の後頭部に手を沿え、離れないようにしたまま名前を座った自分の上に跨らせる。

「名前もかわいいぜ」

唇を離し、真剣な顔をしてそんなことを言う銀時に名前が嬉しそうにはにかんで笑う。
そんな名前の首筋に唇を這わすと、しなやかな身体が銀時の胸に甘えるように寄せられる。

「銀さん……」
「んー?」

銀時の首に腕を回し、ぴったりと密着してくる名前の背骨を指でなぞると、甘い吐息と共にぴくんと身体が跳ねる。
熱情を煽るような、そんな甘い名前の反応に気をよくした銀時は、その手をゆっくり、しかし身体のポイントを押さえつつ下へ下へと移動させていく。
その際に名前が漏らした微かな吐息に銀時が眉を寄せる。
何故かというとその吐息は艶のあるものじゃなく、気が抜けるような「ふぁー……」という欠伸を噛み殺したような響きを持っていたからだ。

「……ねむくなってきちゃったかも」
「いやいやいやいや、この状態で眠られても困るからね!?」

すっかり準備を整え、さあこれからという時にこれだ。
銀時は焦り出す。

「銀さんの腕の中は気持ちいいから……」
「ちょ、待って名前ちゃん! 腕の中よりもっと激しい気持ちよさ味わっとこうぜ、銀さんも眠いけどアソコだけはギンギンだから! 張り切っちゃうから! おいいいい目ェ開けろ!!!」
「んー、……」
「名前ー!!!!!」

のぼせているわけではなさそうだが、目を擦りながら必死に睡魔と戦う、というよりアッサリと投降しそうな勢いの名前。
それも仕方がない。ずっと自分を笑顔で迎える為に頑張って起きていてくれたのだ。
そんな名前に無理強いすることなどできない。

「………………」

この下半身に渦巻く名前への強い欲求をなんとか誤魔化そうと
半分うとうとしている名前を抱きしめながら欲望が静まるまで涙目になりつつ歌をうたう銀時だった。




11、24番のリクエストで、銀さん長編で、一緒にお風呂に入ってイチャイチャしながら今日あった出来事を報告しあう感じのお話でした!
書いていてとっても楽しかったです。リクエストどうもありがとうございましたアハハン!

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