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企画
溺れていく(土方)

「十四郎」
「なんだ」
「煙い」
「……悪ィ」

火を点けたばかりだというのに、土方は名前に言われるままベッドサイドに置いてあるラブホテルによくある安っぽい灰皿で素直に煙草をもみ消した。
名前はそんな土方に優艶な微笑みを浮かべ、ありがとう、と土方の肩に細い指で触れる。
肌を重ねた直後のしっとりとした土方の身体、その感度をひとつひとつ確かめていくかのように、肩から腕、脇腹や胸を指で愛撫していく。

「ねえ、感じてるの?」
「からかうんじゃねェよ。くすぐってーだけだ」
「え? でもほら……ここ、触るとまた反応してきた。ふふ」
「ふふ、じゃねェよ。そりゃそんな触り方されちゃ反応しちまうに決まってんじゃねーか」
「若いなあ」

土方を見て眩しそうに目を細め、名前は仰向けに寝転がる土方の胸に舌を這わす。
っ、と息を弾ませながら、土方はその男の欲望を煽る名前の表情とじれったい快感に眉を寄せつつ身を任せる。

「なあおい……オメーは幾つなんだよ。俺のこと年下扱いしやがって、……っは、おいコラ名前!」

胸から腹へゆっくりと下に移動してきた名前の舌。
一番敏感な部分に名前の吐息が当たる。次に包まれるであろう快感への期待で土方の腰が浮く。

「私の歳なんて聞いてどうするのよ」
「惚れた女のこたァ何でも知りたいモンなんだよ」
「その結果、破れてしまう恋もあるのよ」
「年齢知ったくらいで破れる恋なんざ本物じゃねーよ」
「あら、じゃあ十四郎との恋は本物だとでも?」
「つーか本物ってなんだ」
「わかんない」

名前が顔を上げる。
土方が起き上がり、今度は名前の身体を押し倒した。

「過去の男と俺と、同じだと思うなよ」

やや強引に名前の唇を塞ぐ。
名前の前では土方は真選組副長ではなく、ただの土方十四郎で居られた。格好つけて隠しておきたい嫉妬心、名前に対する欲望、全て我慢できなくなってしまう。
大事にしたいと思った。名前の気持ちが自分ほど無いとしても、一緒にいたいと思った。これが本物でなくて何というのだ。

「かわいい、十四郎。大好き」

先程の妖艶な表情から打って変わって少女のように顔を綻ばせた名前が、土方の身体を力の限りぎゅうと抱きしめてくる。
豊満な胸が土方の胸に当たり、二重の意味で土方の胸が高鳴った。
名前も土方の前では色々なものが剥がれ落つつある。
こうやって、まるで違う表情も見せてくれるようになってきた。

「かわいい、なんて言えねーぐらいに抱いてやらァ」
「え、もう私、体力が、」
「知るか。黙って俺についてこい」

その言葉に名前が面食らった顔を見せた。
スマートなあしらい方は得意なくせに、この時ばかりは無理だったようだ。
名前は土方の言葉に頬を赤らめてあわあわするばかり。
そんな名前を心の中で可愛いと何度も繰り返しながら、土方はますます名前に溺れていくのを感じた。



06番のリクエストで、年上の女性にメロメロな土方さん。甘甘で。でした。
メロンメロンでございます。
素敵なリクエストをどうもありがとうございました!楽しく書かせていただきました。

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