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企画
なつもちかづく(藤)
「七夕なのに雨だねえ」
「蒸しあちーな、ったく」
「織姫と彦星が会う日なのに」
「氷枕が居るなこれから」
「ちょっと藤くん聞いてるの!?」
「あ?」

左耳に小指を突っ込みながら、藤くんは枕から頭を上げた。

「七夕なのに雨だねっていう話、ちゃんと聞いてた?」
「ぼちぼち」
「…聞いてなかったんだね、氷枕のことで頭がいっぱいだったんだね」
「聞いてた聞いてた。けど星座なんて興味ねーし」
「殴りたい。イケメンでさえなかったら」
「物騒だなおい」

ベッドからやっと腰を上げた藤くんを引っ張って窓際に移動し、二人揃って止みそうにない雨空を見上げる。

「織姫と彦星は今頃なにしてるんだろう」
「さーな」
「仲良く過ごしてくれるといいよね。短冊に『3キロ痩せたいです』って書いたんだよ私」
「…名前の願いなんて叶える暇もねーほどイチャついてんじゃねーの」
「ええっ、それは困る!」

雲で星は見えないけど、空の上は雨なんて降らないだろう。
ぼうっと空を見る私の頭に、藤くんの唇が降って来た。
うへへ、と笑うと「ニヤけた面すんな」なんて照れ隠しの一言。

織姫彦星の二人もこんな風に仲良く過ごしているといい。
そして私の願いもどうか叶えてください。




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