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企画
感激(派出須・妙に短い)

テーブルの上に並べた二つの箱は、派出須がバレンタインデーの今日もらったプレゼントだった。
ひとつは差出人不明の石炭の置物。
きっと去年と同じ人がくれたに違いない。
もうひとつは恋人である名前からもらったチョコレートだ。

「こんなに素晴らしいバレンタインデーは初めてだよ……」
「逸人、それは大袈裟」

呆れ顔の名前がソファに座る派出須の横に腰を下ろす。

「僕の中で“冷血”が食べきれないほどの感情が湧きあがってるっていうのに、それでも名前は大袈裟だって言うのかな?」

派出須はこんこんと語りながら、ひび割れた顔面をずいと名前の方に寄せてくる。

「それは失礼しました」

よしよしと、名前は派出須のパサついた色素の薄い髪を撫ぜ、笑った。
その髪はいつもより若干黒くなっている。

冷血のうんざりしたようなうめき声が、喜びに満ちる派出須の内に響いた。




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