企画
興奮(藤・やっぱり短い)
「みんなー、よかったらチョコレートもらってー」
朝から女子達のチョコレート攻撃に元々持っていない気力を根こそぎ奪われていた藤が、名前の明るい声に保健室のベッドからむくりと身体を起こした。
「あ、藤くん。朝から見かけないと思ったらここでサボってたんだね」
大きな箱を持ち、にこりと藤に向かって満面の笑みを見せる名前に藤は「まあな」と頭をかきながら近寄る。
「藤くんもよかったら食べて。みんなのバレンタインのチョコ作ったんだ」
美作や明日葉がそれぞれ名前の持つ箱の中から爪楊枝に刺さったトリュフを取っていく。
美作は、女子の手作り…! と大興奮し、明日葉は頬を染めながらありがとうと喜んでいた。
「あ、でも他の女子にたくさんもらってるから、もういらなかったりする? 無理しないでよ」
「アホ言うな。食わねーワケねーだろ」
「よかった!」
本当に嬉しそうに名前が笑うと、うっと赤くなる藤に「はい」と自ら爪楊枝を持ち藤へ差し出してくる。
美作やアシタバには自分らで取らせてたよな……。
自分だけ特別扱いされた気がして、藤は緩みそうになる表情をぐっと引き締める。しかし、
「ぱくっと一息にどうぞ!」
名前はにこやかにチョコを藤の口元へ運んできた。
藤は、食わせてくれる気かよ!と心の中で叫ぶ。
顔に血がのぼりどうしても顔がニヤついてしまう。
ヤベ、美作が見てる前でそんなことできっか……いや、でもんなこと言ってる場合じゃねえ!
美作のニヤニヤとしたからかいの視線を一身に浴びつつ、大人しく口を開け名前にチョコレートを食べさせてもらう藤だった。
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