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企画
口福(土方・かなり短い)


妻が作った平たく薄い四角の生チョコレートに、土方は器用にマヨネーズを搾り出し、一息に口の中に入れる。
上等のチョコレートと濃厚なマヨネーズの競演に、土方は恍惚の表情を浮かべた。

「お口にあいましたか? マヨネーズを乗せやすいように少し大きめにしてみました」
「ああ、最高だ」

またひとつ生チョコレートに手を伸ばし、マヨネーズをかける。

「十四郎さんたら、こどもみたいですよ」

名前は目を細め、土方の口の端についたマヨネーズをそっとハンカチで押さえた。
口くらい自分で拭えると言わずされるがままになっているのは妻相手だからなのだろうか。
いや、名前だからだ。

「十四郎さん?」

マヨネーズのついたハンカチを内側にして畳む名前を見つめる土方の視線に気付き、名前が綺麗ににこりと微笑む。
そんな名前に向かって静かに笑みを返すと、土方は大きな口を開けマヨネーズをたっぷり絞ったチョコレートをポイと口に入れた。




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