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企画
たどりつくまで(琉夏)
隣町で七夕祭りがあるのだそうだ。
それを教えてくれたのは祭りの当日。
しかももう陽も落ちた頃。
バイクでふらりと家までやってきた琉夏くんが、バイト中お客さんからその話を聞きバイトが終わるなり私の家に来たのだと言って笑った。

「行くだろ?」
「うん!」

今年初めてのお祭りだ。
花火大会に着ようと思っていた浴衣がぽわんと頭を掠める。
だけど「どうぞ、お姫様」と差し出された琉夏くんの手に手を重ねた瞬間どうでもよくなった。
バイクに乗った王子と、その後ろに跨がる姫。
汗で湿った琉夏くんの背中にぎゅうと抱きつく。

夏の夜風にぱたぱたと服や髪をなびかせバイクは走る。
エンジンの音がうるさいから会話なんてできやしない。
だけど気分はどんどん高揚してくる。
とばせとばせ。流れる景色が眩しい。
ねえ、笑いがどんどんこみ上げてくるくらい楽しいよ。
大声で琉夏くんに言った。
聞こえてないだろうけど、きっと琉夏くんはわかってくれてると思う。

ずっと離れていた幼馴染と再会したのは今年の四月のことだ。
まだ理解できないことも多い。
だけど根っこの部分はずっと繋がってたんだと、こういう時に感じる。
夏はまだはじまったばかりだけど、琉夏くんと一緒ならきっと楽しい夏になるに違いない。







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