企画
銀ちゃんプレゼントあげるアル
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※長編の「EDGE OF THIS WORLD」の設定ですが、読んでいなくても大丈夫だと思います。
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「あー食った食った、ごっそーさん」
そう言って銀時はごろりと畳に横たわると、名前の膝の上にごく当たり前のことのように自分の頭を乗せた。
「銀さん、食べた直後に寝ると消化に悪いですよ」
「新八くんの言う通りだよ銀さん、それに私後片付けしなきゃ」
「あ、いいですよ名前さん、たまには僕がやりますから休んでて下さい」
でも、と言いかけて名前は視線を下へ向ける。
食卓の方を向いて目を瞑る銀時は、どこまでも安心しきったような表情だ。
「……ごめんね、お願いしてもいいかな?」
「もちろんですよ」
気持ち良い笑みを浮かべ手際よく食卓の皿をまとめた新八は、それを持って洗い物をする為に和室を出て行った。
残ったのは、ふいー、と誰よりもたらふくお腹を満たした神楽と、名前の膝枕で幸せそうに目を閉じた銀時と、それを愛しげに見つめる名前。
そんな名前と銀時を、いつもならまたやってるアルと日常的なその光景をさして気にせずテレビを見ている神楽が、今日は珍しく口を開いた。
「こんな死んだ魚みたいな目した男のどこに惚れる要素があるネ」
呆れ混じりに放たれた神楽の言葉に、名前が柔らかく笑う。
「そうかなあ…私は安らぐよ。とろんとしてて優しい瞳も、真剣なキリッとした瞳も、どっちも銀さんらしいよね」
名前は銀時を起こさないよう、そっと正座していた足を崩した。
そして綺麗な指で銀時の髪の毛をゆるりと撫ぜる。
「ちっとも真面目に働かないアル」
「銀さんのペースがあるんだよきっと」
「こいつキャバクラ通ってたの知ってるアルか」
「あはは、うん知ってるよ。でも私と付き合いだしてからそんなに行ってないみたいだからいいの」
「髪の毛天パだヨ」
「私ストレートだからうらやましい」
「子供は名前に似ないと悲惨なことになるネ」
「そんなことないよ、銀さんに似たらみんなに愛される子になると思うな」
神楽がどれだけ銀時のマイナスポイントをあげようと、名前にとってはそのどれもが愛しい部分らしい。
「名前ってどんだけ銀ちゃんのこと好きなんだか」
「すごく。すごく好きだよ。大好きでたまらない」
「言ってて恥ずかしくないアルか」
「ちょっと恥ずかしいね」
銀さんが寝ててくれてよかった…そう言って頬を染めた名前がその照れくささに堪えきれなくなったように自分の頬に両手を当てる。
耳まで真っ赤になっている名前に神楽がふっと柔らかい視線を送ると、ちらとその視線を下に向けた。
「ちょっと早いけどこれが今年の誕生日プレゼントアル」
ぼそっと呟いた神楽の言葉が拾えず、名前が首を傾げて「え?」と聞き返す。
しかし神楽は「なんでもないネ」と言ってにいっと笑った。
名前に気付かれないように片目だけを開けた銀時が、手を少しだけ持ち上げ、神楽の行動を褒めるようにグッと親指を立てた。
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