[携帯モード] [URL送信]

企画
★飾りつけ (派出須逸人)
明日、保健室で生徒達がクリスマスパーティーをやりたいというお願いを、派出須は二つ返事でOKしたらしい。
いそいそと嬉しそうに保健室を折り紙で作った輪っかやら折鶴(…)やらで飾り付けている派出須を、名前はソファに座ってコーヒーを飲みながら冷めた目で見つめていた。

「苗字先生、ここら辺は“クリスマス万歳”なんて垂れ幕を飾ったらいいんじゃないかと思うんですけど、どう思います…?」
「みんな引くと思う」
「え…!?」
「飾りつけはもう止めておいたら?後は生徒が自分達でやるでしょ」

とっぷりと日も暮れ、学校に残ってる教員なんて自分達だけだ。

「でも…もう少しだけ……」

名前の呆れ顔にたじろぎつつも飾り付けを続けようとする派出須に名前は苦笑いを零す。
約束していたわけではないが、てっきりクリスマスは二人きりで過ごすものだとばかり思っていた。
しかし派出須は名前のほのかな期待をよそに、生徒達とのクリスマスパーティーを楽しみにしていて、張り切って保健室の飾り付けまでしている。
一緒に過ごしたいとは言い出せない雰囲気だ。
恋人になって迎える初めてのクリスマスは、どうやら別々に過ごすことになるらしい。
派出須は生徒達のお守りがてら賑やかに過ごす一方で、名前の方は、派出須と過ごすとばかり思っていたため、何も予定が入っていない。
まあ、いいんだけど。
多少残念に思わなくも無いが、派出須が楽しそうならいいと名前は若干の引っ掛かりを大人の女として気にしないフリをした。

「あ、そうそう…」
「ん?」
「夜に名前の家に行っていいかな…?」
「クリスマスパーティーなんじゃ…」
「それは夕方。夜は君と過ごしたい」

せっかくのクリスマスなんだし、とはにかみながら派出須が言う。
派出須のその言葉に、名前はパッと頬を赤らめ目を輝かせ、さっきまでの淡々とした表情を一気に明るくする。
その様子にくすりと派出須が笑みを漏らした。

「そんなに喜んでもらえると僕も嬉しいよ」
「だって一緒に過ごせると思わなかったから…!」

恥ずかしいのか、ちょっと突っかかるような口調の名前に、派出須が折鶴を渡す。

「なにこれ」
「飾りつけが早く終われば帰って名前と一緒に過ごせるけど?」
「私に飾りつけ手伝えって?」
「うん」

この折り紙で作った鶴やらカエルやらカブトやらはどう考えてもクリスマス向きではない。
飾り付けを私も手伝ったと生徒達に知られたら、私のセンスまで疑われてしまう。
そう思った名前は派出須に折鶴を返した。

「ヤダ」

折鶴を返されてポカンとする派出須に、名前は笑顔で「待ってるから早く終わらせて」と応援を送った。





[*前へ][次へ#]

4/6ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!