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企画
残滓(高杉)
※ぬるい性描写がありますので苦手な方はお気をつけください
こちらの話と繋がってますが、読んで無くても大丈夫です。



自分の漏らす唸り声で目覚める気分は最悪だ。

「名前」

自分の横に恋人がいないことはわかっていた。
たが、高杉は自分でも理由がわからないまま愛しい者の名を呼んでしまう。
夢の中で感じた深い絶望は、詳細を目覚めた瞬間に忘れ去ってしまっても、
現実で高杉を酷く息苦しくさせる。

目覚めた瞬間に名前の気配を感じないことは初めてのことではなく、高杉もさして驚かない。
名前は最近、船の中を頼りないヒヨコのような好奇心に浮いた足取りで散歩するようになったのだ。

『また子さんが大事な拳銃を見せて下さって』
『また子さんて、すごくお綺麗ですよね』
『おやつをまた子さんと一緒にいただいてきてもいいですか?』

名前が船を歩き回るのは、この船で高杉以外に唯一喋れるようになった、また子を探してのことだろう。
以前なら名前は、高杉が船の自室に居る時は片時も傍を離れようとはしなかった。
木漏れ日のような笑顔を、高杉にしか向けなかった。
ところが、あることをきっかけに少しずつ、名前はまた子と親しく話をするようになったのだ。

名前が用意してくれたのだろう、寝る時は外している左目を覆う包帯は、
きちんと新しい清潔なものが枕元に分かりやすいようにそっと置かれていた。
それを無造作に掴む。
名前に巻いてくれと頼むと、いつもくすくすと笑いながら晋助様は甘えん坊さんですね、と、
その言葉にムッとする自分の左目の瞼に、軽く唇で触れ真剣な顔になって包帯を巻いてくれる。
名前の顔を浮かべながら、包帯を手に一度自分で巻きかけた。
しかし巻き加減、この現状、全てが気に入らず、高杉は小さく舌打ちしそれを荒々しくほどく。
着物を羽織り瞳に険しさを滲ませたまま部屋を後にした。


名前を見つけたのは、床の木目が太陽を柔らかく受け入れる朝日に照らされた船の甲板だった。
掃除する者、朝日を浴びに来たもの、竹刀で素振りをする者、何かと騒々しい。
名前は丁度また子と別れるところだったようだ。
名残惜しげに手を振る名前の表情は、留守番をさせられる子猫のようで、
それを受けるまた子は、いつも通りツンとした表情を崩しはしないものの、
まるで名前の姉であるかのように口元を柔らかくして名前の頭を撫ぜる。

名前に勝手に触れるな、と高杉はコンテナの陰で眉を寄せた。

地球にいる間はこの船を、目立たないよう一般の船に紛れこませるように大きい港にとめている。
物資や武器、様々なものが詰め込まれたコンテナが積み上げられている箇所は、
まだきちんとされていないコンテナが、路地裏のような隙間をあけて並んでいる為、
高杉はそこでまた子が去り、名前が通りかかるのを待つ。

名前を捕まえるのは簡単だった。
船の中を一人で歩けるようになったとはいえ、まだまた子以外とはろくに喋れない。
せいぜい、びくっとしながら会釈して足早にすれ違うのが関の山。
なので、なるべく人が通らなさそうな方向からくるだろうと、コンテナの反対側で腕を組んで待っていたのだ。
まさかコンテナの隙間に誰かが、高杉がいるとは露とも思わず、
名前は自分の手首を掴まれた瞬間、小さく悲鳴をあげた。
それを高杉は前もって冷静に予測していた。
流れるような動作で空いてる手で名前のばら色に色付く唇を覆いそれ以上の悲鳴を封じる。

「俺だ」

高杉の胸に抱きとめられた名前は、全身の強張りを大きな吐息とともに緩めた。
心底驚いたのだろう、安心したように微笑を浮かべたものの瞳は潤んでいる。

「も、もうっ、晋助様、びっくりするじゃないですか……!」

その言葉に、高杉は今までずっと結んでいた唇をようやく綻ばせた。
名前に懐に入れていた包帯を無言で渡す。
きょとんとした顔で、名前は包帯に視線を落とし高杉を見る。
高杉は顔を伏せるように、名前に顔を近づけた。
右の瞼も閉じ、無防備な表情を名前の前にさらけだす。

「もしかして、私に巻いてもらおうとここまでいらしたんですか?」

ふふ、と名前の笑い声が空気に溶けるように柔らかく高杉の耳をくすぐる。
名前の指が高杉の頬に触れた。手馴れた様子で高杉の目に包帯を巻いていく。
名前は、出会った頃は羽を傷つけられ怯えて震える蝶のような女だった。
傷は深く、癒えることはないだろうが、今では傷ついた羽を健気に動かそうとしているように思える。
そのまま高杉の元から飛び立とうとしているのではと、自分でも制御できない気持ちがどろりと湧き上がってくるのを感じた。

朝の夢も、そんな夢ではなかっただろうか。
思い出せないが、遠い昔に負わされた心の傷が抉られるような痛みがチリと左目の奥で疼く。

「晋助様、できましたよ」

すっかり高杉を信頼しきってる声に、高杉はゆっくり目を開けた。
据えた目で見つめられ、名前はいつもと少し違う高杉の様子に小さく首を傾げる。
そんな名前を強引に抱き寄せ、高杉は着物の帯を力任せに解きはじめた。

「え、晋助さ、ま……!?」
「声を上げればいい」
「何を、いって」
「泣き叫べばいい。俺に突っ込まれて悩ましい喘ぎを上げるその顔を見られるのも一興だ。なァ名前」
「や、っ!」
「安心しろ。それでも俺は名前を離しやしねぇ」

はだけた着物を剥ぎ取ろうとするが、名前が首を振ってそれを拒む。
乱れた襦袢から名前の白い肌が見えた。

「どうしたんですか晋助様。こんな場所じゃなくて部屋に戻ってからでも……」
「我慢ならねェ」

言うと同時に名前の唇を激しく奪う。
急くような手つきで名前の体の線をなぞり、下着に手を入れた。

「私、晋助様を怒らせるようなこと、してしまったんでしょうか……っ、んっ、」

黙ったまま荒く息を紡ぎ、自分を受け入れさせるため、名前の弱い部分を攻め立てる。
指にぬるりと濡れた感触を確認するなりすっと指を引き抜いた。

「俺以外の人間に懐くのは構わねぇ。が、名前の一番近くにいていいのは俺だけだ」
「………もしかして、晋助様、」

名前が喋るのを遮るように、名前の肩を掴んだ高杉は、
いとも簡単にその身体の向きをくるりと変えコンテナに押し付ける。

「黙ってろ」

背後から覆いかぶさるようにして、名前の耳元にひどく優しい声で囁き、
着物を腰まで一気にたくし上げた。
続いて下着をずりさげる。真っ白く肉感的な尻と、下着を引っ掛けたままの太ももが高杉の情欲をこれ以上ないほど煽ってくる。

「私がまた子さんと仲良くしてることが……あ、んん、…っ!」

猛った自身を名前のぬかるみに押し当て腰を進めると、
そこは存分に濡れてはいたものの、ぎちぎちとまだ解れきれていない若干の抵抗感があった。
しかし、耳元で甘く名前を囁いてやり、愛してると首筋に歯を軽く立てると、ふっと身体の力が緩む。

「名前、俺と居てェか」
「っ……はいっ……ずっと、お傍にいさせてください……」
「それでいい」

名前の腰を掴んでいた高杉の手に、名前の片手が重なってくる。
高杉がゆるく腰を打ち付けると、切ないくらいきゅうきゅうと中を締め付けてきた。

「うぁ、っく、しんすけ、さま……!」

誰かがこちらへ向かってこないか耳に神経を使いつつ、激しく腰を動かす。
名前の膝はがくがくと力なく震え、立ってるのがやっとのようだ。
高杉は崩れ落ちそうな名前の細い腰を抱き寄せ、一層丹念に中を突く。

「も、だめっ、ひゃ、あ、あ、」
「出すぞ」
「、ひっ!」

逃げられぬよう、細い身体を後ろから強く抱きしめながら、
名前の中に全て注いだ、自分の持つ名前への酷く濁った独占欲と欲望の残滓は、
自身を引き抜くと、腿を伝って膝辺りまで下がっていた名前の下着をとろりと濡らした。






■高杉さんで鬼兵隊の船の中で人気(ひとけ)のあるところで隠れてエッチ
 2人の関係は恋人同士で高杉さんに我が儘言われても許しちゃうくらい高杉さんのことが好きだけど、お互い溺愛

■怖い夢をみてヒロインに甘える原作高杉

■高杉で「どこまでも」の続編のような感じ
 あれ以来、また子ちゃんと仲良くなった主人公ちゃんの2人の関係に病み高杉が嫉妬する



こちらの3つのリクエストで書かせていただきました!
楽しくて楽しくてですね、長さを考えずダラダラと書いてしまって
いつもよりちょっと長い話になってしまったんですけど、
最後まで読んで下さってありがとうございました!
そして、リクエスト下さった翠さま、沙月さま、ことこ様、
本当にありがとうございました!
これからも青と緑をよろしくお願いいたします!

2016/10/07 いがぐり

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