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企画
ちゃんと忘れておくから(沖田)
「名前、今日の夕飯は何でィ」

隊士さん達の夕飯の下ごしらえをしている最中、沖田さんがふらりと厨房へとやってきた。
厨房には私の他に女中は居ない。皆それぞれ、洗濯物の取り込みや掃除で忙しいのだ。
今日の料理当番がたまたま私だったというだけだけど、こうして二人きりになれるとちょっと得をした気分になる。

「カボチャの煮つけに焼き魚に青菜のお浸しに豚汁ですよ」
「地味すぎじゃありやせんか」

くつくつ音を立てて煮えるカボチャに落し蓋をする私の背中に沖田さんが覆いかぶさってくる。

「一応ハロウィンだからってカボチャ料理をわざわざ付け足したんですよ。豪華豪華」
「ハロウィン…ああ、菓子よこさねーと悪戯するぞっていうアレですかい」
「そう、そのアレです」
「じゃあ寄越せ」
「今あげられるのはまだ味の染みてないカボチャだけですが」
「いらねえ。じゃ悪戯されても文句言えねーってことで」

ふーっと耳に吐息を吹きかけられ、ひゃあと菜箸を落としそうになった。

「料理中は悪戯しないでくださいっ!」
「はは、真っ赤になってらァ」
「だいたい、それって夜にするものですよね、今じゃダメですよ」
「じゃあ夜に名前の部屋に行くことにしやす」
「お菓子が欲しいの?」
「欲しいのは名前だけでさァ」
「じゃあちゃんとお菓子用意するの忘れておきますね」

その言葉に目を見開いた沖田さんに、年上の余裕を見せ付けるように涼しい顔して笑ってやった。





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