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企画
年下の男(現パロ坂田※)
※性描写あり。苦手な方はご注意を。ぬるいものですが自己責任でお読みくださいませ。
 18歳未満の方はご遠慮下さい。
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あ、坂田くんが入ってくる。

名前の心は、全身に惜しみなく与えられた愛撫により、身体と同じようにすっかり溶かされきっていた。
普段クールで何を考えているかわからない飄々とした笑顔を見せる坂田銀時は今、
贅肉ひとつない引き締まった身体を惜しげもなく晒し、興奮しきった自身を握り名前のぬるつきに押し当てている。
しかし、名前の期待するままにその腰を進めることはなく、銀時はその体勢で愛しげに名前の顔を見つめ微笑んだ。

「……嘘みてー。俺が苗字さんとセックスできるなんてよ」
「年上とするの初めて?」
「歳とかどうでもいいんだけどよ、ただ、ずっと憧れてた先輩が、俺なんかの告白にまさかOKくれるたぁ思ってなかったから」

ずっと見てました、好きなんです。

数時間前、銀時から唐突に言われた言葉に、名前は長いまつげを何度もぱちぱちと瞬きさせた。
何を言われたのか理解するかで、それくらい時間がかかったのである。

「私も、まさか坂田くんが私のことそういう風に思ってるなんて思わ、な、……っ、」

言葉の途中にも関わらず、甘くかすれた息を吐きながらゆっくりと銀時が進んできた。
何年も前に恋人と別れて以来の情事だったが、名前の身体は震えるほどの快感と共に銀時を飲み込んでいく。

「美人な上に仕事ができて有能なアンタに、ポーっとなってる奴ァ山ほどいるぜ?」
「……っは、さかた、くん、ちょっと、待って……っ」

名前の反応を見ながら、銀時は悩ましく腰を動かし名前から思考を奪っていく。
決して激しい動きではないのに、ねっとりと濃い交わりは、名前から最大限に快感を引き出していく。

「でもそれだけに惚れたわけじゃねーかんな、俺、苗字さんの、っ、すぐムキになってくるとことか、すっげ、好きで、」

っく、と小さく喘ぎをもらしながら、銀時は腰の動きを緩めぬまま名前を抱しめる。
頬を銀時のくせ毛が柔らかくくすぐって、名前は顔を動かし銀時の耳元に唇を寄せた。
汗と、シャンプーの香りに、自然と腰が疼き、無意識に銀時のものを締め付けながら揺らせば、
その快感に息を飲んだ銀時が、それに負けじとなかをかき混ぜるように動かしてくる。
ああ、と身体を仰け反らせた。まだ二人共、余裕があった。
性急に求め合うものではなく、互いを確かめ合い体温をゆるりと馴染ませていくようなセックスだった。

「……ん、坂田くんには、いつもムキにさせられてるよね、私。素の自分になっちゃうの、それって、意識してたから、かも、……ぁ、あ、っ」



会社の休憩室にある自販機に、たまたま二人は同時にコーヒーを買いにきていた。
少し銀時の方が早くきていて、小銭を自販機に入れたところに名前が現れ「お疲れ様です、坂田くん」と銀時の横へ立つ。
銀時は「ども」と短い返事をして「苗字さん、何飲みにきたんです?」と聞いた。
柔らかな声だった。

「んー、カフェオレ」
「あ、俺も同じ」
「坂田くん甘党だもんね」

部署は違うが軽い会話なら何度もしたことがある、それだけの間柄だったのだが、
銀時が甘党だということは会社中の女子の間に知れ渡っていた。
長身で身のこなしが洗練されていて、天パで変わった色をした髪の毛だが顔も整っている。
この会社の中で、かなりモテる方の男だった。

「苗字さんに俺の好みを知っててもらってるたァ光栄だ」
「大袈裟だな」
「いや、マジで嬉しいっすわ。今度のバレンタインデー、苗字さんからのチョコ期待しちまおーっと」
「あげてるじゃない、毎年。女性社員全員で買ったチョコ大袋。誰でもご自由にお取り下さいっての」

やわい紙コップに注がれた素っ気の無い会社の薄いカフェオレを自販機から取り出した銀時は、それを自然な動作で名前に渡してきた。
自分で買うから、と断ろうとすると「俺、やっぱイチゴミルクにするんで」とへらりと笑う。
ならばと自販機の小銭投入口に持っていた小銭を入れようとすると、読まれていたかのように素早く銀時に先に入れられてしまった。
銀時はイチゴミルクのボタンを押しながら、くく、と楽しげに笑っている。
年下の男にからかわれて面白くない名前は、銀時へ一歩踏み出した。同僚同士にしてはかなりの至近距離だ。
銀時の纏う男の香りが感じ取れるくらいまで近寄ると、名前はからかわれたお返し、とばかりに銀時を見上げて唇が触れ合う寸前まで顔を寄せてにっこり微笑んだ。そして驚く。
飄々としていた銀時の頬が瞬時に赤くなったからだ。
てっきり、ふふん、と余裕の顔で受け流されるかと思っていたのに。
その意外な顔に、自分の顔にも血が上るのを感じながら、名前は銀時のスーツのポケットに手の中で温もっていた小銭を落とした。
そしてそのまま一歩下がって銀時から身体を離そうとしたが、逆に銀時に一歩詰め寄られ、名前は目を見開く。
手に持ったカフェオレが銀時に奪い取られ、すぐ脇の休憩用のテーブルにとんと置かれた。

「今年は俺だけに下さいよ」
「な、なんでよもう、欲張りだなー。知ってるよ、毎年たーっくさん高級チョコもらってるんでしょ」
「苗字さんからもらえるなら他の女からのチョコはいらねえ。全部断る」

銀時が買ったイチゴミルクが、取り出し口で紙コップのなか着色料そのまんまのピンク色をなみなみとたたえ取り出されるのを待っている。
そのことを指摘できぬまま、名前はぶるりと身震いした。
銀時の瞳が、こんなにも内に激情を秘めていたのかと驚くほど、名前を求めているとはっきりわかったからだ。

「坂田くん、は、」
「ずっと見てました。好きなんです」
「え、えええええーーーーーーーーー!?」
「んな大声出したら誰かきちまいますよ」



銀時が名前の唇を奪うと同時に動きを早めてくる。
唇が離れ、更に腰を深く打ち付けられ、名前が堪えきれず淫らな喘ぎを上げた。

「ヤベ、その声だけていっちまいそーだ」

あまりにも強い甘美な刺激に名前は無我夢中で銀時にしがみつく。
それを頼もしく受け入れ、銀時は身体を密着させる体勢になった。
近く迫った絶頂への予感に、二人は頭の中を互いのことで満たす。
もう言葉を紡ぐ余裕すらない。ただ本能のままに溶けきった快感に身を任せるまま、汗に湿った身体を荒く息を乱しながら小刻みに動かし続ける。
徐々にその動きが激しくなり、汗がぽたりと名前の鎖骨に落ちた時、最奥を突いた銀時の動きが止まり、身体をぶるりと震わせた。

「……ッく、」

びくびくと身体の中で薄い避妊具越しに欲を出され、名前もぞくぞくと背中に甘い刺激を走らせながら、弾けるように達した。
呼吸を弾ませながら目を開いた名前は、達した直後の霞がかった視界ですがるように銀時を見つめる。
目の前の銀時の顔をしっかり目に焼き付けたかったからだ。
きゅっと閉じていた銀時の瞳がゆっくり開いた。とろんとした瞳がすぐに名前の視線に気付く。
ほんの少し羞恥の混ざった照れくさそうな表情で、それを誤魔化すように名前に口付けてくる。

「かわいい、さかたくんって」
「……もう坂田くんはヤメにしてくんねーかな、付き合ってくれるっていったじゃん」
「それなら私のことも苗字で呼ぶのやめてよ」

すでにセックスまでしたというのに、銀時は名前の言葉に「あー、あ、あ、そうな、」とガバッと身体を起こし、背を向けてティッシュを数枚とると下半身の処理をする。

「ねえ、こっち向いて銀時」
「こんな情けねー格好でか! 実は苗字さんSだったとか!?」

名前を呼ばれたことに本気で動揺している銀時に、名前はくすくすと笑みを零す。

会社の自販機前で告白の直後に「今夜メシでもどうです?」と、名前を誘ってきた銀時とは別人のようだ。
その時、突然のことだったが、名前は「いいよ」と頷いた。
銀時に誘われて悪い気はしない。何より、熱っぽい銀時の瞳にもっと見つめられたいと、心の奥底で思ったのだ。
からかわれていたとしても構わないと思った。
恋愛に発展する前に気持ちを遮断できる。できなかったとしても、それを悟らせない自信があった。
歳を重ね、そういう部分は上手くできるようになったが、その分臆病になっていた。
だから数年間、恋人を作れなかったのだ。

食事中、また普通に「この後、ホテル行きません?」と、銀時がどこか名前の反応を楽しむかのように軽い調子で誘ってきたものだから、
名前もムキになって「後で期待はずれだったなんて思わないでよ」と年上の女として精一杯大人ぶって見せた。
内心、物凄く大胆なことを言ってしまって、軽い女だと思われてしまったと泣きたかった。
普段どうでもいい他の男には自分のことをどう思われようが構わないというのに、
この時は、この坂田銀時だけには、そう思われたくないのだと、そう思っている自分に驚いた。
けれど、軽く誘ってきたということは、銀時は自分のことを好きだと言っていたが、結局手軽に手を出してしまえる女なのだと、そう思っているに違いない。

顔には出さず少し俯いただけなのに、銀時は名前の考えてることがお見通しだったのだろう。
店を出て、手を繋がれて、夜の空を見上げながら銀時が目だけを動かし名前を見た。

「俺、好きだって言ったよな」
「あ……うん、聞いた」
「ホテルまで行ってくれるっつーことは、俺とこれから付き合ってくれるってことでいいんですよね?」

名前の心配など綺麗に拭い去るように、銀時は誠実な顔で名前を正面から見つめ、笑う。

「でも、私なんかでいいの? 坂田くんモテるし年下の可愛い子からでもよりどりみどりなのに」
「苗字さんに惚れてんだから、他の女なんかにゃ眼は向かねーよ。腹くくっとけよ、俺ァ本気だかんな」

そう言われて、本気で嬉しかった。ずいぶんと使っていなかった恋愛方面への感情が、銀時の笑みに解きほぐされていく。
信じよう。自分を好きだと言ってくれた年下の男の見上げ「私でよければ」ときゅっと銀時の手を握る。
その時の、銀時の嬉しくてたまらない気持ちをどうにか押し殺そうとしているかのようなはにかんだ笑顔を、かわいいなと思った。



「私、銀時が好き」

丸めたティッシュを枕元に設置された、いかにもラブホテルですという安っぽいゴミ箱へ投げ捨てた銀時に向かって、
名前は自分の気持ちを素直に口に出してみた。
そうすると、セックスで満ち足りた身体と同じくらい、心も満たされていくのを感じる。

「名前」

目元を赤らめながら、銀時も小さく名前の名を呼ぶ。
幸せをかみ締めるように、小さくもう一度名前を繰り返すと、満足そうに唇を緩めた。
抱しめて、と胸がはだけるのも気にせず両腕を広げると、嬉しそうに笑った銀時が、再びベッドに名前を押し倒すようにして抱しめてくれる。

銀時に電話番号を聞かなければと思った。
この甘い夜が明け、二人で幸せな朝を迎えたら。




■坂田さんで甘々〜な裏。学生以上の現パロまたは原作設定の坂田さん。ヒロインは坂田さんより年上で

のリクエストで書かせていただきました!
キャー裏という滅多に書かない、しかも現パロという初めて書く分野に挑戦できて嬉しかったです。
書きなれていないので、変な部分とかあったらごめんなさいいい!
とっても楽しく書かせていただきました。リクエストくださって、そして読んで下さってどうもありがとうございました!

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あきゅろす。
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