[携帯モード] [URL送信]

企画
全て本心(沖田と年上女中)


「実は私、この世界の人間じゃないの。別世界からトリップしてきた異世界人だったんです」
「へーそりゃ初耳だ。で、それがどうかしたんですかい」

あまりにもあっさりとした沖田の返事に、名前は面白くなさそうに口を尖らせる。
もそりとこたつの布団を胸の辺りまで持ってきて、じっと斜め向かいに座る沖田を見つめた。

「驚かないの?」
「驚いて欲しいなら驚いてやらァ。わー、こりゃびっくりだー驚きすぎて呼吸止まるかと思ったー」

沖田はわざとらしく両手をパーに広げて目を大きく見開き、思い切りからかっていることを隠しもしない悪戯っぽい瞳でそんなことを言う。

「総悟の息が止まっちゃったら大変。近藤さんに人工呼吸頼まなきゃ」
「それだけは勘弁してくだせェよ。なんで名前がいるのに近藤さんにそんなことされなきゃなんねーんだ」
「近藤さんだったら唇がくっつく前に総悟が自力で復活しそうだから」

はは、と沖田は短く笑うと、身体を寄せて名前の唇にちょこんと自分の唇を重ねた。

「あんた、どこの世界からきたんですかい」
「えーっとね、どこかな。って私から言い出してなんだけど、別の世界からきたっていうのは冗談だからね。わかってるよね」
「わかってらァ。『別世界からトリップしてきた異世界人です』っての昨日名前が見てたドラマの女の台詞まんまだったじゃねーか」

そうそう、と名前がさらりと笑う。

「あの時の主人公の返事、素敵だったなー」
「ああちょっとヒロインの言うこと鵜呑みにしすぎの頭足りなさそーなクソ男の。ソイツ何て言ってましたっけ」
「一緒にみてたのに忘れたの?」
「あまりにも歯の浮くような台詞ばっか言うもんで脳が勝手にそいつが出てくるシーンの記憶だけ消去しちまったんでさァ」
「あのさ……まあいいや。ヒロインに『愛があれば関係ない! 世界一愛してる!』って言ったの」
「やっぱ記憶消しといて正解だ。頭足りないどころか馬鹿の極みだ寒気する」
「ええー、素敵だと思ったのに」
「名前がヒロインの台詞をいきなり言い出した理由がわかりやした。主人公のその台詞を俺に言って欲しかったからだろィ」

沖田にまんまと図星を突かれ、思わず頬を染めてしまった名前は、違います! と、ぶんぶんと頭を振った。
両手を後方に置き上半身を支え、片膝を少し曲げて座る沖田は、
ただコタツに入っているだけだというのにテレビの俳優やそこらの雑誌のモデルなんかよりよほど絵になる。
顔に意地悪そうな笑みを浮かべさえしていなければ。

「………私は別に、ほら、昨日のドラマの話がしたかっただけで」
「名前さん、俺ァあんたがどこの誰でもいい。愛があれば………ぷぷっ、駄目だ笑っちまう」

名前の肩に手を置き、途中まですごく真剣な顔をして言葉を紡いでいた沖田だったが、最後に盛大にふきだした。
そんな沖田につられて名前も笑う。

「まあ、ドラマだから素敵に見えるんだよね」
「名前さんは俺が世界一愛してるお人でィ」
「わー嬉しい」
「これは本心ですぜ」
「………そ、そう。……ありがとう……」
「あんたがどこから来ようが関係ねェ。どんな出会いでも俺ァ名前さんを好きになってた」
「総悟………」
「異世界とやらに帰っちまわないように手錠かけて鎖で繋いで毎晩可愛がってやってたでしょうねィ」
「よかったこの世界に生まれてて」

総悟ならやりかねない、と名前が胸を撫で下ろしていると、
照れ隠しでわざと飄々とした表情を作っていた沖田が、ふっと瞳を優しく和らげ名前を見つめた。

「真っ赤になった名前は世界一可愛いですぜ」
「もうそれやめて。心臓止まる」
「止まったら俺が直々に胸のマッサージと人工呼吸してやらァ。激しいヤツ」
「お願いだから人前ではやらないでね」
「公開蘇生プレイもなかなか」
「やめて」
「ちょいと練習させてくだせェ」

くらりとするほど魅力的な笑みを浮かべた沖田が、ゆっくりと名前を床へと押し倒した。




■沖田さんで年上女中ヒロインさんがトリップして銀魂の世界に来ていたら、のもしも話

のリクエストで書かせていただきました!が!ご希望の内容ときっとズレがありますよねすみません本当にごめんなさい。
沖田さんはヒロインがどんな世界からきていたとしてもこんな感じになってたんじゃないでしょうか!
リクエスト、どうもありがとうございました♪


[*前へ][次へ#]

4/26ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!