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企画
銀さんと長編ヒロインがお風呂に入る十月十日の話
※「肌寒い日」「万事屋のお風呂場で」「長編(連載)ヒロインが」「銀さんに甘える」



「今夜は肌寒いから、お風呂のお湯、ちょこっとだけ熱めにしておいたよ」

風呂へ入る為に服を脱いでいた銀時に、脱衣所の引き戸からひょこっと顔を出した名前が声をかけた。
あらわになった銀時の胸に頬を染め「着替え中にごめんね」とあわてて顔を引っ込める。

今日は十月十日、銀時の誕生日ということで、今年は新八の家で盛大なパーティーが開かれた。
神楽ちゃんは泊まらせるわね、とお妙に言われ銀時と名前が夜空にくっきりと浮かぶ月を見上げながら手を繋いで帰ってきたのがつい先程のこと。
日中は暑いとはいえ、もう秋だ。夜は肌寒い。
帰ってすぐ、名前は風呂の湯をためてくれたのだ。

「名前、背中流してくんない?」

そう言うと、すぐ傍に居た名前が再びちょこんと顔を出し「……喜んで」と頬を染めつつ頷いた。
こいこいと手招きすると、名前は照れくさそうに脱衣所に入ってくる。

「銀さん、すぐに行くから先に入ってて」
「いーや、待っててやるよ」
「でも、」
「手伝ってやろーか?」

名前の身体を抱しめるようにして、すでに腰にタオルしか巻いていない銀時が名前の着物の帯を解きにかかる。
小さく「あ……」と吐息交じりの声が名前の唇からこぼれた。
その唇を自らの唇で深く塞ぐと、銀時は手早く名前の着物や小物を床へ落としていく。

「冷えちまう」

そう言って、銀時はあっという間に裸にされて恥らう名前を浴室へ連れ込んだ。



「あったかーい」

ふわあ、と気持ちよさげに背中を預けてくる名前を後ろから抱しめた銀時は、
そっとその耳元に唇を当てる。

「今年も楽しかったね」
「まだ今日という日は終わってねーよ」
「あと3時間くらいだね、もう一度ハッピーバースデーの歌、うたう?」
「………一度でじゅーぶんです」
「ざんねん」

銀時の手のひらが、名前のわき腹を撫で、上へ向かう。
名前は熱い吐息をこぼし、銀時の愛撫に身体を震わせた。

「お湯ん中で揉まれる気分はどーですかァ名前ちゃん」
「ん、銀さん、熱い……」

そう言って、名前は火照った身体を捻り、銀時の腰の間に座り正面から抱きついてくる。

「ね、キスして」

言われなくとも、と銀時は少し上を向くようにして名前の唇に吐息ごと奪うように口付けた。
ぽたりと音を立て、水滴か、汗かが湯船に落ちる。
柔らかな名前の身体と引き締まった銀時の身体が、これ以上ないくらい密着する。

「やーらけーなァ名前の身体」
「どうしよう、やっぱり少し太っちゃってたかな」
「安心しろ、そういう意味じゃねーよ」

よかったー、とふわりと笑う名前の顔に、ピンと指で湯を弾く。
少量の湯が顔にかかり、名前は「わっ」と目を閉じた。
もう! と名前が笑いながら手のひらですくった湯を銀時の顔にばしゃっとかける。
こんにゃろ、と銀時も同じように勢い良く湯を名前にかけた。




「銀時様と名前様の笑い声。この位置からすると発生源は浴室ですね」

ビール瓶の入ったケースを軽々と持つ、スナックお登勢で働くからくり家政婦のたまが、静かな機械音を出し二階を見上げた。
建物から漏れ出ている人間のデータを、優秀な精密機器で読み取る。

「脈拍、共に興奮状態。体温、共に興奮状態。そして銀時様の一部分の膨張を感知しました」

たまは微笑を浮かべつつ誰に言うでもなく言葉をこぼすと、ゆっくりとした動作でビールのケースを地面に置いた。





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