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企画
たぶんきっとずっと(笹塚)
わさわさと歩くたびにかさついた音が鳴るのは、手に持っている笹のせいだ。

従兄弟で年の離れた妹みたいに過ごしてきた弥子ちゃんの事務所にいつものように遊びに行ったら、普通に「これケーキのお礼!」と渡されたのだ。
形から入るところのあるネウロが、七夕のことを知り張り切って事務所に入りきらないくらいの笹を持ってきたんだそうだ。
突き飛ばされるたびに笹が刺さるから、弥子ちゃんは健気に危ない部分だけ切り出していったらしい。
ふと目に止まった短冊には『奴隷解放』だとか『絶対服従』だとか書いてあった。相変わらず息が合ってるね!

「で、持ってきたんだ、それ」
「だって捨てるわけにはいかないし、私の家に帰ってたら待ち合わせの時間に遅れちゃいそうだったし」

衛士はふっと目を細め、私の手から笹を持っていった。

「せっかくだから、短冊でも書く?」
「俺、願い事なんてそんなにないけど…」
「犯罪撲滅とか」
「そーね、俺達の仕事無くなっちまうけどな」

こんな笹を持ってお店になんて入れないので、私たちは衛士の家に向かった。
笹を適当に立てかけ、広告の裏が白い部分を適当に切って、ボールペンで願い事を書く。
衛士は煙草を吸いながら、マジでやるとは…と漏らしてたけど、書いてとその手にボールペンを握らせた。

「書けた!」
「俺も」
「見せて」

その短冊には『煙草がこれ以上値上がりしませんように』と書かれていた…。
禁煙、しようよ。

「名前は何て書いたんだ?」

ちょっと恥ずかしかったけど、衛士に短冊を見せた。
どうせ笹に飾るときに見られちゃうもんね。

「『衛士とずっと一緒に居られますように』…別に短冊に書くまでもねーだろこれ」
「ほんと?」

灰皿に煙草を押し付け火を消すと、柔らかな顔で衛士が私を見て頷く。

「じゃあ、衛士が煙草やめてくれますようにって書くよ!」
「あー、きっとそれ叶わないからやめときな」
「叶えてよ!」
「じゃあ俺の子供産んで」
「もしもし今なんて?」
「名前に俺の子供ができたら、その時は禁煙する」
「結婚は」
「して欲しい。俺と結婚」
「なにこの会話の流れ、本気なのかいつかの先の話をしてるのかサッパリわかんない!!」
「どっちでも。名前の好きなほうでいい。どっちみち俺には名前しか居ないし」
「じゃあ私がもう結婚したいって言ったらするんだ」
「喜んでするけど」

いたって真面目に言われて、目玉が飛び出そうになった。
ああ織姫様彦星様、私の願いを叶えてくれるのは貴方達ではなく目の前に居る最愛の恋人のようです。





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あきゅろす。
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