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長編はみだし話(番外編)
・さっちゃんはね

「あやめ、って綺麗な名前だよね。さっちゃんに本当によく似合ってる」
「ええ、私もそう思うわ。誰も下の名前でなんて読んでくれないけどね。猿飛って苗字にインパクトありすぎるのがいけないのよ」
「じゃあ私はあやめちゃんって呼ぼうかな」
「今までずっとあなたにもさっちゃんって呼ばれてきたから今更下の名前で呼ばれても変な感じじゃないの。せっかくだけど遠慮しておくわ」
「わかった、さっちゃん」
「あ、でも銀さんにだったらいつでもあやめって呼んで貰っていいけどね! ホラ二人で入る布団の中でだけ、彼は私のことさっちゃんじゃなくあやめって呼ぶの! どうこれ、身も心もすさまじく萌えるじゃないのおおおお!」
「駄目だよ」
「名前さんにしては珍しいじゃない。速攻で却下するだなんて。いいじゃない一晩くらい」
「駄目です」
「そういえば銀さん、ツッキーのことは月詠って呼んでるわよね。それっとちょっと気にならなァい?」
「ならないよ」
「なんでよ。いい子ちゃんぶってんじゃないわよ本当は嫌なんでしょ!」
「だって私と出会う前からの仲だし」
「中出し!?!?」
「さっちゃん落ち着いて」



▽▽▽▽▽



「なんて話をしてたの」
「そりゃお疲れさんだったな。アレ相手してっと疲れるだろ」
「ううん。楽しかったよ」

明かりを落とした名前を、銀時が待ちかねたように隙間無く並べた二組の布団の中に引き込み、深く唇を重ねる。

「そういや名前は俺のこと最初から“銀さん”て呼ぶよな」
「うん。初めて会った時、銀さんがそう呼んでくれって言ってくれたから」
「“銀時”って呼ばねーの?」
「えっ」
「いや、銀さんって呼ばれんの好きだけどよ、名前に銀時って呼ばれたことねーよなーってふと思ってさ」
「そういえばそうだよね。えっと、銀時、………うわあ、なんだか恥ずかしいね」
「いやいやいやいや、全ッ然、も、もっかい!」
「銀時」

綺麗な髪をシーツに散らし、はにかんだ笑顔で銀時を真っ直ぐ見上げその名を呼ぶ名前に、銀時の背筋にゾクゾクと甘い興奮が駆け上っていった。
その破壊力にへなへなと名前の身体に覆いかぶさるようにしてその身体を抱しめる。

「やっぱり恥ずかしいかも」
「じゃあ挿れてる時に呼ぶのはどーだ?」
「もっと恥ずかしいよ……」
「イク時」
「もう、銀さん」

名前の唇から零れる“銀さん”という響きは柔らかく銀時の耳と心を刺激する。




この夜、「銀時って呼ばないといかせてやらねー」という銀時の意地悪により、
恥ずかしさを捨てて何度も何度もその名を呼ぶ淫らに乱れた名前の姿は、これ以上ないくらい銀時を興奮させた。

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