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長編はみだし話(番外編)
・興奮に包まれて

名前のお腹に銀時との子供ができたと新八と神楽に告げた時、二人は弾けんばかりの笑顔になってぴょこんとコタツから立ち上がった。

「マジでか名前!!」
「おめでとうございます、銀さん、名前さん!」

病院から帰ってきたばかりでまだマフラーも羽織も脱いでいなかった銀時と名前は、そんな二人の様子に嬉しさをかみ締めつつ笑顔を浮かべる。
二人の方へ駆けてくる新八と神楽にふつふつと更なる幸せが湧き上がってくるのを感じながら、銀時と名前は互いに視線を絡ませ笑みを深めた。

「ありがとうね二人とも」
「いつ産まれてくるアルか! 明後日アルか!?」
「はえーよ神楽。よく見ろ、まだ名前の腹はぺちゃんこでしょーが。これが明後日産まれるお腹かよ」

マフラーを外そうとしていた名前の背後から銀時がその細い身体をがばりと抱きしめると、
慎重に、そっと、少し緊張した面持ちで、自らの手を名前の腹部へと当てた。
瞬く間に表情が緩んでいく銀時を見て、神楽と新八は本当にこの中に小さな命が息吹いているのだと実感する。
神楽は頬を上気させ、もじもじと口を開いた。

「あ、あの、名前、私も……触っていいアルか?」
「もちろんだよ」
「えっと……僕も……あ、いや何でも
「新八君も、よかったら」

銀時の手に少しだけ重なるようにして、神楽と新八の手も名前の腹部へ当てられる。
そんな三人の手の上から、名前の両手がそっとかぶせられた。
まだ何の変化も見られない、今までとまったく同じお腹にしか見えなかった。
しかし、触れているだけで手のひらからあったかな気持ちが広がっていく。

「銀ちゃん名前、この赤ちゃんいつどうやって作ったアルか?」

純粋に目をキラキラと輝かせ、躊躇うことなど微塵も無く浮かんだ疑問をどういう意味だか考えもせず口にした神楽に、新八が「か、か、か、神楽ちゃん!?」と慌て出す。

「あー、それはだなァ、んー、正直どれが当たったのかわかんねーぐらいしてたからわかんねーな。な、名前」
「銀さん銀さん」

名前が身体をひねり、銀時の耳に手を当てて小さな声で「ほら、あの時じゃないかな? ……が……で、後ろから……でしょ、その後で銀さん………ってしてたし」
と言うと、銀時が真剣な顔で
「そんなら…………で名前が……してくれたじゃん、そんで………ってなった時のじゃねーの」
と名前の耳元に唇を寄せ、甘えたような声を出す。

「あ、そうかも」と、その時の事を思い出した様子で頬を染める名前の額に、ちゅ、と軽く銀時の唇が当てられた。
甘い表情を浮かべた銀時が、額から唇を離し再び名前の耳へと唇を押し当てる。

「けど…………が……だからさ、………の……こう、奥まで……が……してだな……」
「でも銀さん、あれは……だったから、そんなに………、そういえば二度目の……が、ほら、………したよね?」

神楽の質問に答えるためとはいえ、真剣な顔で口に出すのはどうかと思える淫らなプレイを交えた夫婦生活の話を神楽の耳に入れるのはたとえ断片的であれ教育に良くないと、
新八は神楽の耳をしっかりと塞ぎ、心の中でお通ちゃんの新曲を流して何とか耐えようとした。




しかし話の内容が段々と過激になっていく夫婦と一緒に居るのはもう限界だと、
新八は「まだ答え聞いてないアル」といぶかしげな顔をする神楽を引っ張るようにして万事屋から連れ出した。

「わん!」

イチャイチャする夫婦と定春を残して。

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あきゅろす。
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